「タイガーマザー」をモンスター視してはならない
範先佐(華中師範大学教育学院教授)
「タイガーマザー」は子供につらい思いをさせ、厳格に要求し、自分を律することを教え、将来の人生に対して責任を持てるようにする。最終的に利益を受けるのは子供と社会であるべきだ。
世の中のすべての知識、能力、品性は苦しい試練を経て初めて得られるもので、怠け者や意志の弱い者、機を見て甘い汁を吸う者、ちゃらんぽらんに日々を過ごしている人は卓越とは無縁だ。子供は成長の過程で誉めてもらえるべきであると同時に、挫折や失敗も経験し、自分で苦労し奮闘することで強くなっていくようにしなければならない。一人の人間の心と知恵の成長にとって、これは欠かすことができない。その意味では、タイガーマザーの教育方法に全くいいところがないというわけではない。
厳格であること自体は人格教育でもある。子供がいいことを覚えるのは難しいが、悪いことを覚えるのは簡単だ。子供に対する高い基準や厳格な要求がなく、寛容すぎ、ひいては放任して好き勝手にさせておけば、子供が才能ある人になるのは難しいだろう。もちろん、世の中に自分の子供を愛さない親はいない。子供からの意見や要求に対して、親はよく耳を傾け、正当なものであれば適切にそれに応え、理にかなっていないと思えば、同意しない理由を子供に説明するだけでなく、子供に対してきっぱりとダメだと言えなければならない。
成長する過程で、子供には親の助けと厳格な要求が必要だ。これは親が果たすべき義務でもあるが、何でも代わりにやってしまうというのもいけない。代わりにやってしまうと、子供に大人への依存が生まれ、自立して自ら努力し向上する意識が弱まってしまう。
何でも代行してはいけないが、放任して構わないというのも親としての責任を果たしていない。子供の道徳や品行の面では、親自身が自分に対して厳格に要求し子供のよき手本となる一方で、向上心がない、意志薄弱、わがままで自己中心的、横暴や依存といった好ましくない傾向に対しては、できるだけ早く発見し、断固としてこれを正す必要がある。
こうした意味では、「タイガーマザー」の厳格な家庭教育方法は子供の将来の発展にとって有益だ。「タイガーマザー」の家庭教育方法をモンスター視してはならない。
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