中国の外交面における困難は、アメリカを始めとする外部的要素によるものでもある。昨年に入ってから、アメリカは高らかにアジアに回帰した。アメリカがアジア回帰をした原因としては、まず、ワシントンがグローバル戦略の重点をアジアに移した、ということが考えられる。次に考えられる原因としては、過去の戦略ミスを補足するためという点だ。過去10年間、アメリカは反テロに全力を注ぎ、アフガニスタンやイラク戦争へと巻き込まれていった。アメリカは、口ではアジアを重視しているというが、行動に移すのは遅いのである。ちょうどその10年間に中国のアジア諸国に対する影響力が迅速に拡大し、地域協力のプロセスは深化し続けた。それに対してアメリカの戦略家は、アジア協力関係において蚊帳の外に置かれることを懸念し、全面的にアジアに回帰し、アメリカにとって有利な地域の安全秩序を再構築することを主張したのである。
中国の外交上存在する問題に対して、われわれは正確な認識を持たなければならない。まず、中国が外交上見舞われている苦境は、大国に成長する際の必然的な「悩み」であり、中国の台頭に伴って整備されていくプロセスである。われわれが国際社会の対抗措置を過度に恐れる必要はなく、平常心を保って対応すればよいのである。2つ目は、積極的な交流と対話を展開し、国際社会に中国の開放された協力面を意識させるよう主導することである。3つ目は、国内における政策の協調を強化し、引き続き政策の透明性を保ち、世論を主導し、共通認識を構築するといった面に力を注ぎ、外交面で国内において良好な支持を得られるように努めることである。4つ目は、やはり安定的な中米関係を外交の中心に置くことである。周到な対米外交は、アメリカが中国との理性的なウィンウィン関係の構築という戦略を打ち出すことに有利であり、そうでなければ、アメリカの過激な政策を招く可能性がある。最後に、周辺諸国との関係を正確に処理することだ。中国は、外交的な布石の中でも周辺諸国との関係を重要な位置に置かなければならず、みずからの力を慎重に使い、経済成長の成果を共有し、地域秩序を維持する上での責任を負う必要がある。
「北京週報日本語版」2011年1月6日 |