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評論  
10年の国際政治・安全情勢 その主要な特徴と動向

 

 

ロシアのメドベージェフ大統領は2010年11月1日午前、南千島列島(日本では北方四島と呼称)の国後島に上陸した。これはロシアの国家元首が初めてロシアと日本との間で領土紛争が起こっている島嶼を視察することになる。(ノーボスチ通信社) 

 

(2)ロシアは転換を実現し、西側との関係を全面的に改善するとともに、アジア太平洋地域のロシア外交戦略における地位を高めた。

ロシアは20年近くにおよぶ発展戦略を見直すことで、資源依存型の発展モデルの弊害と危害を認識し、刷新型経済の発展、近代化の実現をロシアの強国に向けた戦略として選択した。メドベージェフ大統領とプーチン首相は互いに歩調を合わせて「近代化戦略」を推進し、対外政策の成敗の基準は、「近代化戦略」にプラスとなる外的環境を提供できるか否かにあると強調。ロシアの対外政策には、こうしたことから2つの重要な転換がもたらされた。1つは、西側との関係の全面的な改善、いま1つは、アジア太平洋地域のロシア外交の配置における地位の向上だ。米ロ関係が悪化した局面を脱した。ロシアはイラン問題において米国に歩調を合わせ、過去堅持してきた立場を改めた。米ロの核軍縮交渉は飛躍的に進展、双方は新戦略兵器削減条約(新START)に調印した。また、ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟をめぐる米国との17年におよぶ交渉が決着。これを機に、ロシアと欧州の関係は上向き始めた。今年6月のロシア・欧州サミットは、メドベージェフ大統領が提起した「近代的パートナーシップに関する提案」を実行すると宣言した。その核心は、経済分野における双方の協力の強化だ。ロシアは欧州のミサイル防衛システム問題で北大西洋条約機構(NATO)に協力することに同意し、アフガン問題でも同機構との協力が深まった。

西側との関係を改善すると同時に、ロシアは外交方針において初めて新興勢力が集中するアジア太平洋地域を独立国家共同体の前に据え、一連の行動を通じて「アジア太平洋回帰」の戦略をアピール。さらに、中国との戦略的協力パートナーシップを一段と強固にした。米国とともに東アジアサミットに参加した。伝統的なパートナーであるインド、ベトナムとの関係を緊密にし、インドと大規模な合同軍事演習を展開し、ベトナムと40億ユーロを超す初の原子力協定に調印、またロシア海軍は貸借する形でカムラン湾に戻る計画である。メドベージェフ大統領は日本と紛争中の南千島群島(日本の名称・北方四島)の国後島に上陸し、四島に対するロシアの主権とその戦略的地位の重要性を強調した。

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