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評論  
APECの未来:アジア太平洋自由貿易圏の障害と展望

 

指摘しておきたいのは、APEC内部の発展途上国メンバーはアジア太平洋自由貿易圏にそれほどの信頼を寄せていないことだ。これは長年にわたってAPECの経済技術協力があまり進展しておらず、参加メンバー間の差は縮まるどころか拡大しつつある現状と関係がある。具体的にはまず、経済技術協力の資金が不足しているため、実際に意義のある活動を展開できていない。次に、資源配分が理にかなっておらず、優先分野が均衡のとれた発展を遂げられていない。さらに、現在展開している経済技術協力プロジェクトは情報収集、情報共有、育成訓練の3種類だが、こうした経済技術協力プロジェクトがますます「有名無実化」している。

したがって、APECの今後の方向性を考える上で、アジア太平洋自由貿易圏は長期目標にとどめるべきで、さまざまな階層や範囲で、多くのルートを通じて、順を追って少しずつ推進できるようにしなければならない。日本の経済学者、河合正弘氏が提起しているように、アジア・太平洋地域経済の一体化は10+3、10+6、アジア太平洋自由貿易圏の順に推進していくのが経済的により実行可能性のある選択だろう。APECはアジア太平洋自由貿易圏の条項設置の上で指導的役割を果たすべきだが、アジア太平洋自由貿易圏はWTO原則と食い違ってはならない。各参加メンバーは貿易投資一体化を推進すると同時に、APEC技能開発促進センターを設立して発展途上国メンバーの人的資源能力育成の強化をサポートするなど、より積極的な姿勢と具体的な投入でAPEC経済技術協力の今後の発展を推進していかなければならない。「両輪」によるバランスの取れた発展を遂げて初めて、アジア・太平洋地域経済の持続可能な成長を実現することができるのだ。

APECは成立以来、地域内の「貿易投資自由化・円滑化」と「経済技術協力」の実現という「両輪」で発展してきた。長年の取り組みの結果、1989~2008年の間に、APEC参加経済体の平均適用関税は16.9%から6.6%まで大幅に下がり、商品とサービスの貿易総額は1989年の30兆ドルから2009年には140兆まで増えた。1994~2008年の間に、APEC地域に流入した外国直接投資は4倍以上(7910億ドル)にまで成長し、13.0%の成長率を維持してきた。貿易の円滑化では、2002~2006年の第一次貿易円滑化行動計画(TFAP I)によりAPEC地域内で取引費用が5%下がった。現在実施中の第二次貿易円滑化行動計画(TFAP II)では、2007~2008年で地域内取引費用が1.7%(170億ドル相当)減り、同時に投資円滑化行動計画も現在実施中である。このほか、1992~2009年の間に、APECは計1866項目の経済技術協力プロジェクトを実施した。2001~2009年には983項目の経済技術協力プロジェクトを展開し、年平均110項目を実施し、全体として着実な発展を遂げてきた。

これらの目覚しい成果を上げた後、APECは参加メンバーの持続的な経済発展を推進するために、均衡が取れ、寛容で、持続可能性があり、革新的で、安全な成長戦略を打ち出した。成長戦略を実際に具体化する措置として、APECは次なる構造改革を推進していく。これには規制改革、競争政策、会社管理、公共部門管理と経済・法律インフラ整備強化という五大優先分野が含まれる。

今後のAPECの発展においては、上記の五大優先分野の改革圧力がますます高まることが見込まれる。こうした変革は参加メンバーの国内法に係わってくるため、APECに参加する各経済体は多かれ少なかれ内部からの抵抗に遭うかもしれない。

「北京週報日本語版」2010年11月19日

 

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