7月25-28日、日本海で行われた米韓合同軍事演習
東北アジアの安全の枠組み
米韓軍事演習は東北アジア地域で幅広い関心を呼ぶとともに、多くの国が外交交渉を行ったことで、東北アジア地域の安全問題をめぐる厳しい情勢が突出した。総括して言えば、東北アジア地域の安全をめぐる枠組みと情勢は以下のような特徴を有している。
(1)米国の政治と軍事が存在していることが依然として東北アジア地域の安全の枠組みにおける主導的な要素であり、同時に、中国の影響力も急速に向上しており、米国を含むいかなる勢力であれ中国の存在と中国の関心と姿勢を軽視しようとはしない。米韓が今回の軍事演習を一時的に日本海に移したことは、米韓の中国の姿勢への関心と協力を示している。
(2)朝鮮半島における朝鮮と韓国の軍事対立と朝鮮の核問題は、東北アジア地域の安全上の問題、安全上の矛盾を集中的に示すもので、この数年来の東北アジアで最も際立った不安定要素となっており、東北アジアの安全と利益、情勢の安定を損なっている。朝鮮と韓国の軍事対立に関して、単に両国軍事力について言えば、韓国は相対的に劣っているため、韓国は朝鮮を威嚇するため、一貫して軍事力の向上に努めている。朝鮮は全民皆兵、先軍政治という戦略を実施しているのみならず、核兵器の開発にも成功しており、しかも核融合で突破口を開けば、長期にわたって韓国の軍事力と核の威嚇に対して優位を維持するだろう。
(3)東北アジア地域の安全情勢の根本的に苦しい状態にあるのは、冷戦時代の対立的構造が根本的に変わっていないことにある。即ち、朝鮮半島の南北の対立。日米同盟や米韓同盟と中ロなどとの潜在的対立。日ロや日韓の間の領土問題の未解決。民族や歴史的な怨念などはすでにかなり緩和されたものの、根本的には改善、解決されていない。矛盾や対立面のほか、我々は同時に中韓関係の改善、中米間の日増しに深まる協力や相互依存にも目を向ける必要がある。
(4)米国は自身の戦略的利益のために、依然として長期にわたり、安定的に東北アジアの安全の枠組みと発展の方向を主導しようとしており、これが米国と当該地域の国との間に長期かつ持続的、全面的かつ深刻な矛盾を生んでいる。朝鮮と米国との矛盾、日本と米国との矛盾、韓国と米国との矛盾、ロシアと米国との矛盾、中国と米国との矛盾について言えば、いずれも当該地域には米国の支配、覇権に反対する国々がある。米国が東北アジアを主導する戦略を改めなければ、こうした矛盾は解消されない。
(5)国力が急速に高まるに伴い、中国は東北アジアの安全の枠組みにおいて影響力が急速に増大した重要な要素となってきた。これは主として中国の軍事力の向上にあるのでなく、実質的には経済面での影響力が極めて大きいためだ。90年代、日本や韓国などにとって最大の貿易パートナーはいずれも米国だった。だが21世紀以降、東北アジアの経済情勢には非常に大きな変化が生じ、中国や一躍、日本や韓国の最大の貿易パートナーとなった。両国の中国貿易への依存度はすでに米国を上回っている。日本の対米貿易比率は90年の27.4%から09年に13.5%まで低下した一方、対中貿易比率は3.5%から20.5%まで上昇。従って、中国の経済繁栄は直接、日本や韓国など東北アジア諸国の経済の安全と発展にかかわっている。当該地域でいかなる武力を示すことがなくとも、中国の影響力はこれらの国から尊重され、敬意を払われるに足る。だからこそ、中国の外交能力は日増しに影響力を高めているのである。
「北京週報日本語版」2010年8月5日
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