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評論  
米韓軍事演習と東北アジア安全の枠組み

周永生(外交学院国際関係研究所教授)

2010年7月25-28日、米国と韓国の陸海空軍は日本海で「不屈の意志」と呼ぶ合同軍事演習を行った。米国の航空母艦「ジョージ・ワシントン」など艦船約20隻、航空機200機、約8000人の隊員を出動。1976年以来最大規模の軍事演習を展開した。

7月25-28日、日本海で行われた米韓合同軍事演習

軍事演習が関心を呼んだのはなぜか

今回の軍事演習は世界のメディア、東南アジア諸国の世論とくに中国の幅広い関心を集めた。それはなぜか。

第1に、哨戒艦沈没事件と密接な関連があり、米韓が朝鮮を威嚇する演習だからである。事件後、韓国内の士気は著しく落ち込み、韓国政府は士気を鼓舞するため、米韓同盟の信頼性と強大さを強調し、この演習を誇張する情報を絶えず発信し続けた。同時に、大規模な軍事演習の準備には時間が必要であり、国際関係の制約といった要素を理由に、演習をさらに先送りすることで、演習への懸念を増幅させ、人びとの興味を高めたため、関心は日増しに強まっていった。

第2に、韓国政府は軍事演習の情報を明らかにした当初、黄海地域で実施する考えを示したが、当該地域は中国にとって、非常に敏感で脆弱、痛みと安全への利害が集約するところだからである。日清戦争や日露戦争、第1次世界大戦もここで勃発している。日本はかつてここで清朝の北洋水師を敗退させ、ソ連の遠征艦隊を壊滅させるとともに、かつてこの海域を何度も利用して中国の山東沿海部などへの上陸作戦を行った。米韓が黄海で行う軍事演習に、中国の民間やメディア、軍部、政府機関は強く反発した。

中国政府と軍部は米韓の黄海での軍事演習に強く反対する姿勢を示した。7月23日、楊潔篪部長はハノイでクリントン米国務長官と会談した際、外国の軍艦や軍用機が黄海及び中国近海で中国の安全と利益に影響を及ぼす行動に断固反対するとの姿勢を強調。また中国側は関係方面が冷静かつ自制し、二国間関係を損なうことで、この地域の情勢を緊迫化させないよう促した。

第3に、米国内には軍事演習を行う海域や規模などにある程度の議論があり、今回の演習への関心が高まっているからである。米国防総省の一部の高官を中心とする強硬派は、中国が反対しようと、予定通り演習を実施し、朝鮮を震撼させることで、明確かつ強い警告を発するべきだと主張した。一方、米国内の穏健派は、米韓合同軍事演習は朝鮮と中国の関係を強化するために利用される、との懸念を示した。しかも、演習は東北アジアの緊迫した情勢を一段と悪化させ、最終的に米国により重い負担をもたらす可能性があると主張。

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