王 屏(中国社会科学院日本研究所研究員)
09年11月20日付けの中国英字紙『チャイナ・デイリー(China Daily)』の評論面に「民主党が政権を執ることを契機に、日本は『ポスト日米同盟時代』に突入」というトップ記事が載った。実際のところは、いわゆる「日米同盟」は正真正銘の意義上の「同盟」ではない。平等な内容が欠けているため、日本は米国の「従属国」だと言ってしまう日本の学者もいる。鳩山政権の対米外交のキーワードは「対等」の二文字で、その意図は両国の同盟関係を強化しようとするというよりは、「これからは日本の独立自主への強い関心を尊重してください」と米国に警告しようというほうが当たっている。
日米関係は中日関係の発展の方向性に直接影響を及ぼしており、日米両国は世界で1、2に数えられる実力大国であるばかりでなく、同盟関係を保っており、このことが隣国に与える脅威は確かに非常に大きい。ところが、オバマ米国大統領は政権を執った後米国のアジア・太平洋戦略の調整に努めている。訪日期間中、オバマ大統領は「太平洋の大統領」になりたいとの姿勢を示し、訪中期間中は、「中国を抑制しない」と重ねて言明した。「言を聞くのみならず、行動も見よ」とはいっても、この言葉が発せられるとアジア太平洋の情勢にいくらかホッとした雰囲気がもたらされた。戦後の日本の対中外交の発展を通観してみると、日本の対中外交はいつも米国の対中外交戦略の実施に制約を受けてきた。
鳩山首相率いる民主党が政権を握ってから、日本は初めて米国より早くアジア新戦略を打ち出し、鳩山首相の「東アジア共同体の構築」という主張は新しい革新ではないが、これほど自ら進んでアジア外交戦略を打ち出したのは、戦後の日本執政党の中で確かにめったになかった。最近、中日両国の執政党は定期的協議メカニズムを構築し、小沢一郎民主党幹事長は未来の中日関係を「21世紀における人類史的なパートナーシップ」に位置づけている。中国は日本が「自主独立」に向かうことを喜ぶと同時に、米国がアジア太平洋地域において中国、日本とその他のアジア太平洋諸国と共同で役割を果たすことを期待している。東アジア地域協力はアジア太平洋地域協力の重要な構成部分であり、米国はこれを積極的に支援すべきだ。
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