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中国の絹織物の生きた化石といわれる緙絲(こくし。つづれ織のこと)は、経糸と緯糸を交互に織り合わせて作る、中国で最も伝統的な絹織物である。「通経断緯」(機台に張った経糸に対し、緯糸は文様に従って部分的に織り嵌めていき、織幅いっぱいの通し糸とならない織り方)という技法で織りあげられ、「絹織物の最高峰」と称えられている。 緙絲技法の伝承者である王玉祥さん(70歳)は江蘇省南通市の代々紡織業を営む名門の家柄に生まれた。祖父母が清代に織物の工房を開いた。現在、宣和緙絲研製所の所長を務める王玉祥さんは、緙絲織りに携わって30年。緙絲織りの技法を伝承しながらも、工程を大胆に革新し、さまざまな技法を取り入れている。2010年、王さんがデザインと製作に参加した、7種もの緙絲織りの技法を駆使した「鸞鳳双栖牡丹」が首都博物館に収蔵された。 緙絲の技法には10以上の工程がある。経糸を機(はた)の上に固定した後、梭(ひ)で緯糸を織り込んでいく。数十種の道具と技法を駆使し、随時さまざまな色の糸を変えながら、最終的に、経糸の上に緯糸を象嵌のように織り込んで様々な文様を織りあげる。その工程は非常に複雑で、時間もかかる。 今年、王さんは自身が多くの賞を受賞しただけでなく、その「南通緙絲技法」も江蘇省無形文化遺産リストに登録された。王さんは、より多くの若者に緙絲のことを知ってもらい、好きになってもらうため、「緙絲博物館」を作りたいと考えている。
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