中文 | English | Français | Deutsch
 
 
ホーム 政治 経済 社会 中日交流 文化 文献 特集
ホーム >> 社会 >> 本文
  • descriptiondescription
一杯の沖縄そばに込められた想い 料理人の奥原純さん
本誌記者 成瀬明絵  ·   2018-10-09
タグ: 日本料理;蘇州;社会
印刷

本場の味にこだわり抜いた沖縄そばは中国人の口に合わないと言われることも時にはあったが、味を変えることはしなかった。ニセモノを提供したくないという想いが強くあったからだ。「もちろん中国人向けに味付けを調整したり、経営のために沖縄料理だけではない中国で人気の鮑や刺身などの高級食材を出したりすることもできました。でも僕は自分の料理で勝負がしたかった。僕たちの店には派手だったり高級だったりするメニューはありませんが、そのほとんどをしっかり手間をかけて手作りしており、お客さんに安心して食べていただけます。こういった料理を提供することは僕が仕事を続ける原動力でもあるんです」。しかし、ここ数年で状況が変わってきている。訪日観光客の増加を背景とし、日本で食べた味を求めて来店する人も増えた。 

元々沖縄そばは昔から交易のあった中国から沖縄へ伝わり、そこで徐々に今日のスタイルが形成されたと言われている。このことは店名に込められているのだと奥原さんは語った。「沖縄出身の僕が蘇州でお店を出して沖縄そばを提供すると決めた時、南から吹く風に乗って中国へ持って帰るとの意味を込めて店名を南風にしました。沖縄と中国の結び付きを表したかったんです」。 

店内には沖縄の小物が並ぶ(撮影:本誌記者張巍)

風に乗って

風は今も吹き続けている。ただし今度は反対方向にだ。奥原さんは現在、沖縄で六次産業を振興するという新たな目標へ向かって進み始めている。 

六次産業は日本で提唱され始めた概念だが、奥原さんは中国で得たインスピレーションを交えて新しい試みができないか試行錯誤している最中なのだという。「中国で発見した物、学んだこと、全てが自分の肥やしになっています。例えば中国といえば漢方が有名ですが、こちらでもそういったものが作れないか考えています。10年以上も地元を留守にしていたので、これからは沖縄に貢献していけたら」。 

あの蘇州での夜にすすった、素朴でうそいつわりのないきちんとした沖縄そばは自分の道を着実に歩んできた奥原さんの姿と重なり合う。風はまだまだ、吹き止まない。

「北京週報日本語版」2018年10月9日

前のページへ12
シェア:
リンク  

このウェブサイトの著作権は北京週報社にあります。掲載された記事、写真の無断転載を禁じます。


住所 中国北京市百万荘大街24号 北京週報日本語部 電 話 (8610) 68996230
  京ICP备08005356号 京公网安备110102005860号

中国語辞書: