政策制定サイドから見ると「国民休暇計画」の主な目標には次のような要素がある。
1、 生活の質(QOL)向上計画。この計画は住民のQOL向上に関わる計画で、国民経済と社会を発展させる計画の大事な中身であり、庶民に改革開放の成果を十分に享受させるものだ。したがって、「休暇」に大義名分を与え、レジャー産業を発展させ、国民休暇を提唱すべく「人間本位」の理念を貫徹するための具体的な表現であり、国民に恩恵と利益をもたらす「民心プロジェクト」でもある。
2、 内需けん引の促進計画。レジャーは新興の業態で、旅行・観光、文化、スポーツ、娯楽、飲食などのサービス業と密接に関わっており、内需をけん引する効果には著しいものがある。たとえば、寧波が発行した3000万元分の航空旅行券は、寧波の航空旅行に総額5‐8億元の消費を呼び込むことが見込まれているし、広東が発行した2000万元の旅行券は、4億元以上の観光収入と関連産業に17億元の収入をもたらすと見込まれている。
3、 レジャー産業発展計画。ゴールデンウィークをメルクマールに、中国の大衆レジャー時代、大衆観光時代がすでに到来した。国民休暇計画の実施は大衆レジャー消費市場の需要に見合うだけでなく、国内のレジャー産業の発展を促す絶好のチャンスでもある。
4、 金融危機に対する都市救済計画。金融危機という情勢のもとでこの計画を実施することは消費刺激と内需拡大にプラスとなり、厳しい市場の試練に対応するまさに「都市救済」となる。
中国のレジャー消費はすでに爆発的な成長期
──「国民休暇計画」は国と国民に利益をもたらす国策だが、実施過程において、公費による旅行を助長するような好ましくない風潮をもたらすことはないのか。
そうした懸念は政策の制定と実施の中でも防止するよう考慮している重要な部分だ。課題の検討と世論の反響から見ると懸念は主に次の4つだ。①本来は国民を幸福にするはずの計画が公費旅行を引き起こし、少数者による公費旅行という「盛大な宴会」と化す可能性はないのか。②行政手段によってこの計画を推進した場合、必然的に庶民の創業や養成、教育、減税などの計画との間に矛盾が生じて国民の負担が増す可能性はないのか。③貧富の格差による二極分化を激化させる可能性はないのか。この計画が「国民」としてのアイデンティティの分裂を招くのをいかに回避するのか。④実際の運用性の脆弱さに対する懸念。目下、最大の障害は具体的な条件ではなく、社会全体がまだレジャーという観念を十分に受け入れていないことが運用に当たっての最大のポイントとなる。そのため、党と政府の強い推進なくして1つや2つの部門に頼っていただけでは「国民休暇計画」の達成は難しいと断言する人もいる。
──広東省は先行して国民休暇計画をすでに試験的に正式にスタートさせた。国家レベルでもタイムテーブルがあるのか。
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