チベット東部で最大の湖、然烏湖。標高3850メートル、面積約22平方キロ。もともとボロンザンブ江の上流だったが、約200年前、今の湖の出口付近の山が崩れ落ち、巨石や砕石が河道をふさいだことで典型的なせきとめ湖となった。形は細長く、長さは29キロ、幅は平均して1キロ未満。水深は浅く、平均6メートル以下。
然烏湖の水は外へと流れ出ているが、雨水のほか、周囲のバソラ峰やガブガンル雪山、アザゴンラ氷河などの雪解け水が流れ込んでくるため、湖水の鉱物化度は低い。1リットル当たりの塩分含有量はわずか0.3グラムで、淡水湖に属する。水温も低く、夏は6.6~15.4℃。冬は凍結する。湖では鱗のない魚がたくさん取れる。肉は柔らかく、湖沿いの道路の両側にある小さなレストランで味わえる。
然烏湖の周囲には高山が聳え立ち、標高5000メートル以上の高峰には氷河が見られる。麓の湖に近い斜面には青々としたマツやカシワなどの針葉樹林が広がっており、緑の群山に囲まれた然烏湖はことのほか静謐で優美だ。鏡のような湖面は周囲の雪峰や、青々とした林、青い空と白い雲を倒影し、その光景はどこまでも魅力的だ。湖畔には牛や羊が群れを成す緑の草原や、ハダカムギやエンドウ、チンゲンサイなどが植えられた農地が点在し、チベット高原独特の秀麗な風景、牧歌的な田園の絵巻を織り成している。湖沿いの道をめぐり歩けば、ここの素晴らしさを思う存分に味わえ、自然に戻ったような感じを覚え、ゆったりとした気分にひたれるだろう。
「北京週報日本語版」2007年3月16日
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