避暑山荘は北京市の北東から250㎞離れた承徳市にある。面積は564万㎡。周囲を巡る城壁は総延長10㎞。中国に現存する最大規模の皇家庭園で、故宮の8倍もの規模を誇っている。避暑山荘は、承徳離宮という別称があり、熱河行宮とも呼ばれ、清の康煕42年(1703年)に着工し、乾隆57年(1792年)に峻工した。
避暑山荘は素朴、淡雅の山村野趣を格調としている。宮殿は北部民家の四合院の形式で建てられ、黒い煉瓦と瓦を使い、石灰で継ぎ目を塗り、彩色の絵を施していない。
避暑山荘は宮殿区と苑景区の二大部分に分かれ、宮殿区は皇帝が朝政を処理し、祝典を行い、日常起居をとるところで、面積は10万平方メートル、正宮、松鶴斎、万壑松風、東宮の四組の建築からなっている。苑景区は湖洲区、平原区、山岳区に分け、湖洲区は長江以南の物産豊かな土地の特色に富み、北東の隅に清らかな泉つまりかの有名な熱河泉がある。平原区の西部は一面緑の草地で、蒙古草原の風光を呈し、東部では古木が高くそびえ、大興安嶺の際なく広々とした森林の景色を呈している。山岳区では丘が起伏し、樹木が生い茂っている。
避暑山荘の東と北の山麓には雄大、壮観な寺廟群が分布しており、外八廟と言って、康煕52年(1713年)から乾隆45年(1780年)まで建立されたもので、溥善寺、普寧寺、須彌寺之廟、普陀宗乗之廟、殊像寺の八つである。外八廟は漢代式の宮殿建築を基調とし、蒙古、チベット、ウイグルなど諸民族の建築芸術の特徴を取り入れ、中国の多様で統一された寺廟建築スタイルをつくり出した。
外八廟の主要な建築は、普楽寺、普寧寺、須彌福寿之廟、普陀宗乗之廟である。普楽寺の主体建築である旭光閣は、丸い屋根には二重のひきしで、造形が優美であり、北京の祈年殿に似ている。普寧寺は大乗之閣の千手千眼観音菩薩は高さ22.23メートル、重さ110トンで、世界最高最大の木製彫像である。普陀宗乗之廟はラサのポタラ宮の形と構造をまねて建立されたもので、小ポタラ宮と呼ばれている。
1994年、避暑山荘と外八廟はユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。
「北京週報日本語版」2007年2月26日
|