都江堰は四川省成都平原西部の岷江にあり、世界で完全な形で保存されている唯一の堤防なしで導水する生態的水利施設であり、中国で最も完ぺきな形で保存されている古代水利施設でもある。「世界の水利工事の奇跡」といわれている。都江堰は2000年前、中国の戦国期の秦国蜀郡太守の李氷とその息子が人々を導いて築造した大規模の水利施設であり、中国に現存する最も古くて、いまでも田畑を灌漑し、人々にしあわせをもたらしている由緒ある水利施設である。この一帯は景色も美しく、旧跡も多く、観光客にとってはすばらしい景勝地でもある。
都江堰水利施設
都江堰は魚嘴、飛沙堰、宝瓶口3施設からなる。魚嘴は川の真ん中に築造された分水堰堤で、とうとうと流れる岷江を外江と内江に分け、外江は洪水を排出し、内江は導水の役割を果たす。飛沙堰は洪水や砂を排出し、水量を調節する。宝瓶口は流れ込む水の流量を制御し、瓶の首のような形をしているため宝瓶口と呼ばれている。内江の水は宝瓶口を通じて四川西部平原に流れ込み田畑を灌漑する。毎年都江堰を訪れる外国人観光客も多く、都江堰築造の技術レベルの高さに感嘆する水利の専門家も多い。
安瀾索橋
二王廟の前の岷江にかかる安瀾索橋は、内江と外江の分水するところにかかっている吊り橋。往時の吊り橋は橋台が石でつくられていて、橋の上に木の板が敷かれ、欄干は茶碗のふちほどの太さの竹縄、長さ約500m。宋の時代以前に架設されたが、明の時代に戦争によって破壊された。今の橋は下へ100余m降ったところにあり、竹の縄の代わりに鉄製のロープが使われ、木杭橋脚の代わりにコンクリート杭となった。遠くから見れば、空に浮かぶ虹のようで、漁師が干す網のようにも見えるなどさまざまな形をしている。橋の上をそぞろ歩きをすると、西側はとうとうと流れる岷江で、東側は縦横に走る農業用水路である。ここからは都江堰水利施設の全貌を一望のもとに見渡すことができる。
伏竜観
離堆の上に伏竜観、三つの殿堂三重があり、山の斜面に沿って高くなっている。前殿には1974年に外江調節水門を築造した時に河床から掘り出した李氷の石像が安置されている。石像は後漢の霊帝の初年につくられ、中国に現存する最も古い立体の石像で、非常に貴重な文物である。後殿には都江堰灌漑区の電動模型が安置されている。伏竜観の左側には宝瓶口があり、川の水がとうとうと流れている。伏竜観の裏の最も高いところに二層からなる八角の観瀾亭があり、欄干に身を寄せて遠くを眺めれば、魚嘴、吊り橋、とうとうと流れる岷江、西嶺雪峰が一望のもとに見渡せる。
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