さらに廖担当官は例を挙げてこう説明する。「98年以前は政府調達で汚職が非常に深刻だったが、99年以降は財産権取引市場を設けるなどの措置を取ったため、腐敗はほぼ食い止められた。だが、土地や金融市場で問題がここ数年の間に顕在化してきた。土地について言えば、過去10年間に国の収益は少なくとも年間100億元以上も失われた。土地は官僚の汚職を生み出す主要な温床となっていると言える。金融業界とくに不動産業界では資金や権力が集中し、制度は欠陥だらけで、利益が非常に大きいからだ。06年に摘発された大型汚職事件はほとんどが不動産に関連したものだ」
このほか、汚職が深刻なのは政治制度と関連がある、との意見もある。言い換えれば、「民主国家は必然的に非民主国家よりクリーンである」というものだ。これについて、廖担当官は「腐敗は一つの国の政治制度と必然的な関係はなく、主に『機会』と密接に関係している。機会がありさえすれば、中国であろうと、西側諸国であろうと、汚職官僚は生まれるだろう。現在の中国は計画経済から市場経済へと、農業経済社会から都市化へと転換する過程にあり、このように二つの転換が並行する過程では、汚職が起き、広がる『機会』は客観的に見て多いため、汚職事件が数多く起きることになる」と指摘する。
中国社会科学院の邵道生研究員は「汚職取締への抵抗は主に地方政府に強い。つまり政治学で言う『中間梗塞』現象と言うものだ」と話す。
カギは政治改革の推進
政府は汚職を根絶するため、教育や制度、監督をともに重視する「汚職防止システム」の構築を打ち出した。また、規律検査機関は初めてクリーンな政治と汚職防止に関する法的枠組みをつくる構想を提起。この枠組みに基づき、10年までにクリーンな政治と汚職防止法制度の基本システムを確立し、20年前後までに、汚職防止とクリーン提唱の完備した制度システムを構築する方針だ。
収賄と贈賄は硬貨の両面とも言える。だが、現実の生活では、収賄側と贈賄側の運命は時にとてつもない差のあることがある。つまり、収賄側が刑務所に収監されたり、甚だしい場合は命を落としたりすることがあっても、賄賂を使った方はとがめられることもなく、悪事を働き続けることすらあることだ。こうした現象を「風をひいた患者を銃殺することには少しも容赦しない一方、さまざまな病原菌が蔓延するのを放置しながら健常者を感染させ続けている」、と比喩する声もある。
権威ある統計によると、ここ数年に摘発された収賄・贈賄事件の比率は年平均ほぼ100対7。TIの02年の賄賂指数ランキングでは、中国は贈賄指数(BPI)で最下位から2番目だった。これが汚職を根源から防止する上で大きな障害となっているのは言うまでもない。
昨年1月1日、インターネットで「贈賄ブラックリスト」を検索できるシステムが立ち上がった。贈賄関連情報は一旦入力されれば削除はできない。ただ、5年連続して贈賄の記録がなければ、リストから自動的に抹消されるという。
|