政府は役柄の転換に努めるなど、民主の推進に取り組んでいる。まさに議行分設はその試みだ。それにもかかわらず、一部地方では、さまざまな原因で住民委員会の民主・自治の実現に対する政府の圧力が依然として強い。これは認めざるを得ない。
『住民委員会組織法』に、住民委員会と政府の権限を定め、政府が住民委員会の自治に干渉してはならないと規定するよう提言した人がいる。この法律の改正案は今年になってようやく関係機関に審議のため提出されたが、隔たりが大きいため、来年に採択される可能性は小さいと思っている。
法律の欠如は民主化が直面する重要な問題だ。民主化には法的支えが必要であり、それがなければ民主化は進んではいかない。
記者:社会や経済の分野が大きく変わっている中、民主化はいくら障害にぶつかっても、阻むことはできない。では、民主化を実現させる突破口はどこにあるのか。
李所長:住民委員会の影響力は結局のところ限られたものだ。民主化に向けた改革が困難な状況に追い込まれた時、そこから抜け出させる別の民主的プロセスが必要である。区の人民代表大会(市政府に次ぐ政治機構)代表の選挙だ。コミュニティーからより多くの代表を出すべきであり、すべてのコミュニティーに住民の声を反映できる代表がいるのがもっとも理想的だ。これができれば、民主化を実現させる上での突破口となる。住民委員会に比べ、人民代表は政府の政策決定に直接影響を与えることができるからだ。言い換えれば、現在の状況では、住民委員会に民主化の推進を期待するのは無理だろう。
現在の区人民代表大会代表の多くは各単位の責任者であり、家はコミュニティーにあっても民意を理解する時間や精力はほとんどない。こうした状況が短期間に変わりにくい中、一部都市はほかの方法を模索し始めた。遼寧省瀋陽市瀋河区では、すべてのコミュニティーは「二代表」と呼ばれる代表を選出した。二代表は選挙権以外に、人民代表大会を傍聴する権限や政府機関に質疑する権限、政府の文書を閲覧する権限など正式の人民代表が有するすべての権限が持てる。この制度は、現有のコミュニティーの民主制度を踏まえて生まれたより先進的なものであり、区人民代表大会代表の選挙制度を改革するまでの移行的な産物であり、つなぎとなるものとも言えるだろう。
李凡氏の略歴
1949年生まれ。1978年に北京師範大学歴史学部大学院に合格。卒業後、中国社会科学院政治学所に勤務する。
1984年に米オハイオ州立大学修士課程で政治学を専攻。1989年に帰国。1994年に民間研究機関の世界・中国研究所を創設し、国際関係や中国政治の発展を研究し始める。
1998年、四川省歩雲郷で中国初となる郷長の直接選挙を指導。歩雲郷は翌年の米タイムズ誌に、中国建国50年で最も影響力のある50カ所の一つに選ばれた。その後、李凡氏はNGOの身分で政治体制改革を推し進めている。
「北京週報日本語版」
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