――世界・中国研究所の李凡所長に聞く
馮建華
末端部の民主化はここ数年、農村部から都市部へと広がっており、北京を含む多くの都市では、民主を実現させる方式を模索している。民主化の原動力はどこにあるのか、どんな障害にぶつかるのか、突破口はどこにあるのか……。『北京週報』記者はこうした問題について民間シンク・タンクの世界・中国研究所の李凡所長にインタビューした。
記者:都市部の末端部での民主化の現状をどう評価するか
李所長:都市部の末端部での民主化は始まったばかりであり、いくつか問題がある。主に、コミュニティーの住民委員会と政府との関係が完全には是正されていないことだ。民政部がコミュニティーの民主化を推進するために設定した目標の一つは、住民委員会と政府の分離、住民委員会の自治を真に実現させるというものだ。しかし、この目標は実現されておらず、一部地方政府は意識的または無意識に住民委員会の自治行為に干与しているのが現状だ。
とはいえ、民主が芽生えて成長するにつれて、新しい気風が生まれたことも認めなければならない。例えば、住民の民主に対する意識は大きく向上し、管理されることに慣れていた以前とは異なり、コミュニティーの民主的管理に自発的、積極的に参加するようになったことだ。また、住民と政府との間に矛盾が起きた場合には、話し合いを通して解決するようになった。こうした民主的な雰囲気が、コミュニティーの発展を促進しているのはもちろんだ。
民主を発展させる上での突出した問題は、不動産所有者委員会(以下「所有者委」と略称)と不動産・共有施設管理委員会(以下「管理委」と略称)との矛盾が日増しに先鋭化してきたことだ。現体制の下で、コミュニティーの最初の管理委は不動産開発業者によって指定されることが多く、不動産開発業者の背後には政府の利益が隠されている。そのため、不動産所有者と管理委との間に管理方法や費用徴収などを巡って食い違いが生じると、不動産所有者の権利を保護する組織である所有者委は管理委と激しい争いを行い、自ら管理委を選択することを要求するようになる。むろん、この要求が通るのは非常に難しい。そのため双方の矛盾は一段と激化し、ひいては流血事件と化す可能性もある。
所有者委と管理委との利益争いはここ数年、深刻な社会的問題として注目されるようになった。ある意味では、不動産所有者の所有権意識の覚醒とも言えるいい現象だ。いかに制度面から双方の利益を均衡させるかが、解決すべき問題となっている。
記者:ここ2、3年、一部都市は住民委員会の直接選挙を実現して以降、さらなる民主化に乗り出している。北京や上海などの都市で実施された「議行分設」(住民問題の話し合いと行政の分離)制度がそれだ。住民委員会を繁雑な行政事務から解放することで、より多くの精力と時間を民主・自治の推進に当たらせることが目的だそうだ。この制度をどう見るか。
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