自動車産業だけでなく、天津で営業していた他分野の企業にも損失が出ている。オーストラリアの鉱業会社BHPビリトンは爆発で鉄鉱石の輸送と港湾での作業が中断したが、港湾に保管していた鉄鉱石には被害がなかった。ロイター社の14日の報道によると、日本のイオンショッピングセンターや三越伊勢丹ホールディングスのデパートにも軽微の損失が出た。パナソニック、富士通、日本郵船グループの関連施設もそれぞれ被害を受けた。
▽保険産業には「大きな負担」
メディアの報道によると、今回の事故発生エリアは企業の倉庫や港湾設備が密集し、高価の設備がかなり集中しているため、損害賠償額は1件の事故としては中国保険史上で最高になるとみられる。業界関係者のおおまかな計算では、保険による賠償金額は60億元(約1166億円)前後に上るという。
事情通が16日に述べたところでは、現在、すべての保険会社が損失の評価作業を進めており、具体的な賠償金額はまだ確定てきていない。保険の中で賠償金額が最も大きいのは損害賠償保険だ。最も注目を集めるのは自動車の賠償問題で、「現場に行けないが、報道をみると、被害を受けた車両はどれも全壊状態で、保険会社は全額を賠償することになる可能性がある」という。また中央財経大学保険学院の郝演蘇院長も、「今回の爆発事故における損害賠償保険の規模は過去最大で、賠償金額は50億元(約972億円)から100億元(約1944億円)に上るとみられる。これを主に保険会社が引き受け、再保険会社が補完することになる」と話す。
別の匿名の事情通によると、中国保険産業の御三家といわれる中国人民保険集団、中国太平洋保険集団、中国平安保険(集団)株式有限公司はいずれも巨額の損失を被るとみられるが、新車輸入の保険については、「自分の知るところでは、主に人民保険、チューリッヒ保険会社、また陽光保険集団株式有限公司、渤海財産保険株式有限公司が担うことになる」という。英国紙「インディペンデント」が14日に伝えたところによれば、チューリッヒ保険は同日、天津港の爆発事故の影響を受けた不動産会社と貨物輸送会社からただちに損害賠償請求が出され、同社の中国支社が各社の潜在的損失の評価作業を進めていることを明らかにした。カザフスタンのユーラシア保険会社は、「こうした事故による損失は時に数億ドル(1ドルは約124.3円)に上ることもある」との見方を示す。
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