■金融政策の分裂
国内の有効需要不足と国際大口商品価格の落ち着きの影響で、米国とユーロ圏のインフレは2%の目標内に保たれた。日本はデフレがついに止ったが、上昇幅は限定的だ。日本が4月に急進的な量的緩和政策を実施して貸付金利を抑えたのに続き、欧州中央銀行(ECB)は11月初めに予想外の利下げを決定、米FRBも量的緩和を縮小してもゼロ水準に近い政策金利を長期間維持すると表明した。
反対に、新興国ではインフレ率が高止まりしている。国際大口商品価格は全体として低迷しているものの、自国通貨下落などの影響でブラジルとロシアの消費物価は6~7%の高水準で変動し、インドの物価は8カ月連続で2ケタの上昇を示した。インフレ防止のため一部新興国の中央銀行は金利を上げ続けているが、効果はかんばしくない。
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