◆輸出国の市場拡大
専門家は、「輸入関税は一国もしくは地域の税関が、国境内に入る商品を対象とする税で、その税率の程度は一国の貿易自由化の程度を示す。中国は輸入商品の関税率を引き下げ、経済グローバル化と貿易自由化の大きな流れに合わせた。改革開放の初期からWTO加盟後に至るまで、中国は輸入関税率を徐々に引き下げてきた」と説明した。
中央財経大学税務学院の湯貢亮教授は本紙のインタビューに応じた際に、「中国はWTO加盟後、関税率の引き下げを約束し、実際に引き下げてきた」を指摘した。統計データによると、中国の関税率は1992年の42.5%から2006年の9.8%に引き下げられている。2006年以降の輸入関税の貿易加重平均税率も毎年低下しており、2006年の5%から2011年の3.1%に引き下げられた。
世界各国の経済は現在、回復が遅れている。中国は今回700種以上の輸入商品の関税率を大幅に引き下げたが、これは各国から中国に輸出される商品の価格を引き下げ、世界経済の回復にとって有利だ。湯氏は、「輸入商品の関税率が引き下げられると、輸入商品の価格もそれに伴い低下する。これにより、多くの海外商品が中国市場に進出する。これは中国の輸出入貿易の発展、輸出国の商品の市場拡大にとって有利であり、世界経済の回復を促すウィンウィンの朗報だ」と指摘した。
◆国内消費者に実益
輸入関税率の調整は、国内経済の発展、産業のモデルチェンジ・アップグレード、国民生活の改善にとって、重要な意義を持つ。中国財政部関税司の王偉司長は、「中国は2014年に、輸入促進および輸入構造改善に対する、関税調整の重要な作用をより良く発揮する。一部エネルギー原材料の輸入関税を引き下げ、国内の資源環境の圧力を緩和する。一部の先進技術設備およびコア部品の輸入関税を適時調整し、産業構造のモデルチェンジ・アップグレードを促す。一部の国民生活と密接に関連する生活用品、および公衆衛生関連商品の輸入関税を適度に引き下げ、国民の生活水準を改善する。そのうち一次エネルギー原材料、および戦略的新興産業が必要とする、国内で生産不可もしくは性能が需要を満たさないコア部品については、輸入関税を重点的に引き下げる」と説明した。
輸入商品の関税引き下げは、国内の個人・企業などの消費者にとって、輸入商品が安く購入できる可能性を意味する。
中国財政部の発表した内容によると、一部のエネルギー原材料、先進的な技術設備、コア部品、国民生活と密接に関連する生活用品の輸入関税率が引き下げられる見通しだ。これには設備、ハイテク製品、集積回路、鉄砂・精鉱、農産物、テレビカメラ、デジカメ、ビデオカメラなどが含まれる。消費者・企業は来年これらの商品を購入する際に、より多くの優遇を得ることになる。携帯電話・タブレットPC用ディスプレイなどの戦略的新興産業が必要とする設備の関税引き下げは、アップルやサムスンなどの携帯電話がより安価になる可能性を意味している。
今回は小麦などの農産物に対する関税政策に変更はなかった。同案は、「小麦などの8種類・47税目の商品に対する関税割当管理を継続し、税目・税率を変更しない」と明記した。専門家は、「小麦などの農産物に対する関税保護は非常に必要で、これを完全に開放した場合、中国の農業に深刻な影響が生じる」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年12月18日 |