だが一方で、ハイブリッドカーに有利な要素もある。
国務院が昨年6月に発表した「省エネ・新エネルギー自動車産業発展計画(2012-2020年)」では、「完全電動」を新エネルギー自動車の主要な戦略的方向としながらも、プラグイン式でないハイブリッドカーの技術路線も推進していくことが示された。同時に、乗用車の平均燃費を2015年までに100km当たり6.9L、2020年までに100km当たり5.0Lとする厳しい目標も掲げられた。今年3月、工業・情報化部などの5部門はこれに合わせた「乗用車企業平均燃料消費量計算方法」を制定し、政策をまた一歩前進させた。
▽トヨタのハイブリッド、中国へ
トヨタを筆頭とする自動車メーカーによって進められているハイブリッド技術は、長年にわたって市場における成長を遂げてきた。トヨタのハイブリッド技術はすでに第3世代に入り、世界トップに立っており、ハイブリッドカーの累計販売台数はすでに570万台を突破している。
トヨタが中国に根を下ろし、「中国豊田」の存在を打ち立てていくためには、ハイブリッド技術の中国市場での推進が一つの道となる。とりわけハイブリッド動力の核心部品の国産化を実現し、コストを引き下げることがカギとなる。
トヨタが中国に設立したトヨタ自動車研究開発センター(中国)有限公司(TMEC)は、正規のテストコースと研究設備を備えた総合的な自動車研究開発基地である。トヨタにとっては、世界的な重要性を持つ最先端キー技術の開発基地となり、世界にまたがる研究開発体系の中でも最大規模の開発センターとなる。同社の主要業務には、省エネ・新エネルギー車の部品の現地開発、中国市場に適した自動車とエンジンの開発、これらの業務を首尾よく展開するための現地人材の育成が含まれる。
事情に詳しい業界関係者によると、トヨタは、中国でまずハイブリッドシステム現地化を実現することによって、技術のリードと成熟とを土台にさらなるコスト優位を獲得し、政府の支援なしでも高い市場競争力を持つ国産ハイブリッドカーを作り出し、市場の競争に適応していく計画だ。またハイブリッドカー販売台数の増加も、(中)国産トヨタ車の平均燃費を大きく引き下げることとなる。
豊田章男社長は2011年のTMECの建設起工式で、中国語を用いて「中国が最も重要である」と語った。さらにTMECの業務を2013年に始め、ハイブリッドカーなどの「環境保護技術の中国における現地化発展」を推進する計画であることを発表した。24カ月の努力を経て、TMECのメインビルや新エネルギー実験棟、実験棟、試験車両用コースなどの主要な施設は予定通り竣工し、ハイブリッド技術の現地開発や新型エンジン研究開発の構想は着実に進展している。
TMECは、ハイブリッド技術を代表とするトヨタの最新技術を導入すると同時に、研究開発事業も手がける。このことは、トヨタ本社が合資企業への技術支援を中国の現場へと戦略的に移したことを示す。TMECの竣工により、ハイブリッド核心部品の現地開発はさらに順調となり、ハイブリッドシステムの主要な構成部品である電池やインバータ、トランスアクスルなどの現地化生産もまもなく可能となる。トヨタは今後、TMECという開発基地を十分に利用し、ハイブリッド技術の現地開発を積極的に推進し、「2015年頃までに(中)国産ハイブリッド動力を搭載した車種を一汽豊田と広汽豊田で国産化する」という目標を実現していく構えだ。(編集MA)
「人民網日本語版」2013年11月18日 |