電子商取引（EC）の大きな発展の流れから観察すると、「独身の日」（11月11日）の意義は、数億人のネットユーザーが参加するバーゲンセールにとどまらないかもしれない。

中国経済のモデルチェンジのシグナル

電子商取引最大手アリババ・グループの馬雲（ジャック?マー）会長は、「天猫（同社のB2Cサイト、Tmall）の販促はいわゆるEC各社の戦争ではなく、中国経済のモデルチェンジを示すシグナルだ。新型のビジネスモデルが旧型のビジネスモデルとの競争を受け、製造・貿易会社は本日の情勢が変化し、新経済のスタートが到来したことを察するあろう」と語った。

馬会長は、「EC事業は実質的な新経済、ネットワーク情報技術と旧型の実体経済を融合させた新型のビジネスモデルだ。これは既存の資源を効果的に統合し、企業発展のコストを削減し、中小企業の競争力を高め、社会全体の効率を大幅に引き上げる。現在の1000万を超えるEC事業者、およびインターネット環境内の消費者全員は、新経済時代の第一期となる移民だ。彼らは中国経済のモデルチェンジを導くだろう」と指摘した。

現在の情勢を見ると、このモデルチェンジはすでに生じており、伝統的な小売業に圧力をかけると同時に、EC事業者もO2O（Online to Offline）によって融合を深化させている。物流・製造業などの分野においても、EC事業者は旧型の業態を覆し、再構築する力を示している。

衣料品製造業を例とすると、長江デルタ・珠江デルタなどでは、すでにEC事業者のオーダーメイドに特化した川下サプライヤーが現れている。川上のEC事業者がアリババなどのサイトを利用し注文を得ると、サプライチェーン全体が協力し、少在庫・ゼロ在庫を実現し、物流企業の迅速な出荷により一つのサイクルを形成する。これはサプライチェーン全体の業務時間を大幅に削減する。

他にも、消費者が注文を出し、企業がその需要に基づき生産するC2B（Customer to Business）というモデルも勢いを見せている。アリババ・グループ副総裁、阿里研究センター主任の梁春暁氏は、「C2Bは第三次産業革命が主張している、個性化された生産方式を示しており、伝統的な製造業と商業の生産および販売のモデルを再構築する」と述べた。

脱中心化、情報集約で資源を統合

ネット通販の影響力は流通領域を超越し、中国経済の発展方式を変える。中国社会科学院情報化研究センターの姜奇平秘書長は、「近年のデータによると、地方都市のEC事業者・ネット通販の成長率は、大都市を上回っている。多くのタオバオ村が出現し、分散型の資源配置を実行している。旧式の発展方式は、物質の集約を通じ資源配置を集約し、都市を物質資源の集約地とする。一方でネット通販は情報集約の考えに基づき、脱中心化により資源を配置する。商品は大都市という中心を経由せず、物流によって工場から家庭まで届けられる。ゆえに小都市や農村部でも、脱中心化により暮らしをより良くできる」と指摘した。

2012年の中国ネット通販市場の取引規模は、前年比67.5％増の1兆3000億元に達した。この増加率は同年の社会消費財小売総額の増加率の4.7倍に達し、その総額の6.3％に達した。

馬会長は、「EC事業は中国で今後1000万規模の優秀な中小企業を生み、世界10億人の消費者にサービスを提供する能力を持つだろう」と予想した。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2013年11月11日