結婚も離婚もマイホームに翻弄される。この現象は、政策の「偏り」を示している。税負担の引き上げによる住宅価格の抑制は、取引額を増加させるが、住宅の需要を減らすことはできない。新京報が伝えた。
北京市民政局が発表した直近のデータによると、今年第1-3四半期の離婚手続き件数が前年同期比41%増の3万9075件に達し、昨年通年の件数を上回った。この増加率は、過去4年間の平均水準を大幅に上回っている。
各大都市の離婚件数が近年「安定上昇」している。これは現代の若者の、結婚に対する軽視と直接関係している。しかし離婚件数が一年で4割以上増加したことは、「気ままな離婚」という心理状態だけでは説明しがたい。専門家は「住宅売却に伴う税金逃れ」と関連していると推測しているが、これについて分析していこう。
今年2月に発表された不動産抑制策「国五条」には、「自己所有の住宅を売り出す場合、 譲渡価格の20%を個人所得税として徴収する」と規定されている。その後北京市で発表された「国五条」の実施細則には、「自宅用として5年以上使用し、かつ家庭で唯一の生活用住居を売り出す場合、個人所得税を免除する」と明記された。この政策の影響を受け、中古物件を持つ家庭は離婚により高額な税負担から逃れており、一時的に離婚率の直接的な上昇が引き起こされた。このようなケースは北京だけではなく、その他の大都市にも所得税の納税を逃れるため急遽離婚する現象が存在している。このような「偽装離婚」も、離婚率に加算されている。
離婚を手段として税金逃れをした人は、住宅売却後に再婚したとしても、婚姻関係に傷が生じる。このような軽薄な手法は、褒められたものではない。しかし現実社会において、結婚と経済的利益の間には切っても切れない関係がある。税金逃れのための離婚は、経済社会における現実的な考え方でもある。高尚とは言いがたいが、実質的ではある。一つの公共政策が、このような社会効果を生み出してしまうとは、政策に偏りが存在することを証明している。
不動産抑制策は家庭崩壊を目標とはしていないが、家庭を調整の指標として設定した場合、必然的に家庭の変動を引き起こす。経済的利益の計算が、家庭安定の目標を上回った場合、この変動がいっそう深刻化する。
一部の人は住宅や税金逃れのために「偽装結婚」、「偽装離婚」を選択する。結婚も離婚もマイホームに翻弄される。これは馬鹿げたことに見えるが、政策の「偏り」を示している。税負担の引き上げによる住宅価格の抑制は、取引額を増加させるが、住宅の需要を減らすことはできない。抑制によって増加した負担を軽減するため、一般人が発明した「アイディア」は、必要に迫られてやむなく引き出された「市井の知恵」なのだ。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年10月30日
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