■高齢化による社会保障費の増加
日本は出産を制限するどころか奨励しているが、それでも急速な高齢化という問題に直面している。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は今年25.1%にも達した。つまり4人に1人が高齢者なのだ。高齢化が財政状況に与える影響は主に2つ。第1に、労働力人口および所得税納税者の減少が歳入に影響を及ぼす。第2に、年金受給者数が増加する。高齢者は病気にかかる率が高いため、医療や介護など社会保障費もそれに応じて増加する。
すでに社会保障費は日本財政にとって最大の負担になっている。近年、社会保障費は年1兆円規模で増加している。2013年度の国の歳出全体に占める社会保障費(29兆1000億円)の割合は31.4%。一方、中央財政が直接支配できる国税収入(法定割合に従い地方交付税分を差し引いたもの)はわずか26兆7000億円で、全てを社会保障費に充ててもなお不足する。
■歳出拡大の内在的動力と社会的圧力
日本の財政と政府債務の増加は極めて固定性が強い。これには互いに関連する2つの動力がある。1つは「鉄のトライアングル」政策決定メカニズム、もう1つは社会的圧力だ。「鉄のトライアングル」とは政治家、官僚、産業界で構成される相互依存、相互利用の利益チェーンで、予算を含む各種政策決定を左右している。「鉄のトライアングル」政策決定メカニズムの下、財政拡大政策は容易に了承される。そうすればみな良い「生活」ができるからだ。「鉄のトライアングル」メカニズムは日本の財政が拡大しやすく、縮小が難しく、政府債務が膨れ上がり続ける重要な根本的原因だ。
歳出拡大の社会的圧力は、政府に対する「準公共サービス」増加要求に由来する。医療、介護、年金、住宅政策など「準公共サービス」は外交、国防、国会、司法といった「純公共サービス」と異なり、意味が幅広く、外延が曖昧で、サービスを受益(または消費)するのは特定の企業、家庭、または個人だ。経済的観点のみから見ると、こうしたサービスを市場を通じて提供することに根本的な障害はない。だが日本政府は相当大きな程度において、これらを公共サービスと位置づけている。
「準公共サービス」の基本的特徴の1つは受益と負担の非対称性だ。したがって「準公共サービス」には非常に大きな潜在的ニーズがある。これによって財政規模拡大への強い社会的圧力が形成される。だが現行の税制で調達できる財政資金では公共サービス拡大へのニーズについていけないため、国債を発行して資金不足を解決するほかないのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年9月17日
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