◆従来型産業と現代的産業の関係
経済のモデルチェンジにあたり、現代的産業の発展に向けた新システムを構築する必要がある。それには以下の二つの面が含まれる。一、三次産業の進化の法則に従う。工業中心の経済からサービス牽引の経済や知識集約型経済へのグレードアップを推進し、現代的サービス業と戦略的新興産業の発展を図る。二、産業チェーンのグレードアップの法則に従う。ローエンドからハイエンド、低付加価値から高付加価値への向上を推進し、現代的農業や現代的製造業、なかでもハイエンド設備製造業の発展を目指す。
しかし、中国が産業のグレードアップを推進するにあたっては、西側先進国の経済のモデルチェンジ・グレードアップの手法を踏襲してはいけない。即ち、従来型産業を切り捨てて現代的産業を発展させ、特に労働集約型産業を切り捨てるという手法である。中国の特色ある経済のモデルチェンジを推進するには、「チャイナ・イノベーション」だけでなく、「メイド・イン・チャイナ」も必要である。その要因として、一つに中国の雇用圧力は大きく、製造業は雇用を吸収する主要産業であり、発展の過程で新たな雇用を絶えず創出することができ、工業化と雇用の増加というプラスの循環を形成することができる。また、中国は発展途上の大国であり、各地方の発展はアンバランスであるため、多層的製造業の共同発展を実現できる可能性がある。例えば、東部地域は労働力と土地の価格上昇に伴い、一部の労働力集約型産業は中西部地域へと移転している。このような産業の構造調整と産業技術の拡散は、工業化と各地域の調和の取れた発展というプラスの循環を形成することに有益である。これらの要因を受け、先進技術の改良によって従来型産業を高度化することは、経済のモデルチェンジにとって重要である。
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