日経平均株価は5月22日に7.32%安で1万5000円台を割り、1万4483.98円で取引を終了し、一日としては2011年3月の東日本大震災以来で最大の下げ幅となった。市場では、日経平均株価の暴落はHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)の速報値が49.6ポイントに悪化し、米連邦準備制度理事会が量的緩和を終了すると予想されたためとされた。また一部の市場関係者は、財政刺激、極端な量的緩和策、構造改革を支柱とするアベノミクスが、効果を失いつつある予兆であると指摘した。
しかしながら、これらの論拠は確かなものではない。中国のPMIの悪化は中国市場に懸念をもたらしておらず、日本株式市場の暴落を引き起こす可能性は低い。その後むしろ、日本株式市場が中国株式市場を低迷させた。また米連邦準備制度理事会の量的緩和策の終了は、すでに市場の共通認識となっている。バーナンキ議長もその日程表を示していないわけではなく、現地点で影響が生じていない事が、日経平均株価の暴落を主導することはありえない。
アベノミクスが効果を失いはじめたという結論を下すのも早計だ。アベノミクスは近頃国際市場から注目を集めている。特に中国国内では日銀の極端な量的緩和策に対し、難題を突きつけられたとの見方があり、強い反発が出ている。
世界的に見ると、世界の主な中央銀行はいずれも量的緩和策を実施している。オーストラリア、EU、インドなども金利引下げと量的緩和策を実施している。日本の量的緩和策はやや「極端」ではあるが、その極度な金融緩和策は今に始まったことではない。また日本のGDPを分析すると、円相場が過大評価されており、このほど生じている大幅な円安は日本の狙い通りであり、世界的にも意外なことではない。例えばG8は円安と日銀の量的緩和策に異議を出していない。さらに、日本の量的緩和策と円安が物価上昇を起こし、日本がデフレから脱却するならば、日本経済に上向きの原動力を与える。これは中国にとって、すべてが悪いこととは限らない。
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