劉氏の分析によると、有限な水力資源のほか、現在の中国の新エネルギー発展の構想では風力エネルギー、原子力エネルギー、太陽エネルギーが中心となっている。中国の風力発電の設備容量はすでに世界トップだが、送電網や風車の性能、信頼性といった要因に制約されて、まだ理想的な成果は上がっておらず、さらなる整備が必要だ。原子力エネルギーはエネルギー密度が高く、利用効率が高く、エネルギー効率が安定しているが、リスクが大きい。特に日本の福島県で原子力発電所の事故が発生した後は、原子力発電を行う先進国の多くは代替エネルギーの発展をますます重視するようになり、特に太陽エネルギー産業の発展に力を入れるようになったという。
▽太陽エネルギーに投資して美しい生態環境を
あるデータによると、太陽が1時間地球を照らすエネルギーだけで人類が1年間に使用するエネルギーが全部まかなえるという。太陽エネルギーは使ってもなくならない、汲んでも尽きない豊富なエネルギーだ。太陽エネルギーなどの新エネルギー経済を発展させることが、現在も、これからも、最善の選択になることは間違いない。
劉氏は、「太陽エネルギーなどの新エネルギー経済に投資することは美しい環境に投資することにほかならない。美しい中国を建設するには、新エネルギー経済の発展をよりどころにする必要がある」とし、次のように述べた。西蔵(チベット)自治区、青海省、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、四川省北部、内蒙古自治区、寧夏回族自治区、甘粛省などの地域は、土地が広くて人口が少ない上、太陽エネルギー資源が非常に豊富だ。0.1万平方キロメートルの土地があれば100ギガワット(GW)レベルの太陽エネルギー発電設備を設置することができ、最大出力は三峡ダムの発電所5つ分に相当する。中国は国土がひろく、地域ごとにそれぞれの太陽エネルギー開発資源がある。青海、甘粛、新疆には大量の太陽放射という資源があり、別の地域には太陽電池産業の科学技術研究開発、丘陵地帯での水力発電所の建設といった強みがある。華東地域や南方地域は、長い年月をかけて長距離高電圧送電網の運営で経験を積み上げてきた。これらが一体となって協力しあえば、ハイテク人材の強みと国土の広さという地理的な強みを十分に発揮することになり、中国は太陽エネルギー技術とその応用の道で急速な発展を遂げることができる。
太陽エネルギー発展に向け、技術イノベーションでどのような取り組みを行うかについて、劉氏は次のように述べた。現在の集光型とマルチジャンクション(多接合型)を採用した第三世代太陽電池技術は変換効率が44%まで上昇し、生産過程で生じる汚染は少なく、エネルギー消費は少なく、コストが低いという優位点がある。関連部門に対し、太陽エネルギーを重要な発展の方向として重視するよう提案する。高倍率集光やマルチジャンクションタイプ太陽電池の材料の生産効率は極めて高く、大規模な応用に突入すれば、高倍率集光型発電のコストは原子力発電や火力発電のコストを下回ることが可能だ。また集光型太陽電池による発電技術には高架台、自動追尾技術が採用されているのが一般的で、設置地点の植生に影響がないだけでなく、夏には太陽光の多くを吸収するため、乾燥した不毛の地だった設置エリアが、徐々に草原のオアシスに変わることになり、現地の生態環境の改善にとってプラスになる。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年3月6日 |