米国自然資源保護委員会北京代表部の楊富強エネルギー上級顧問はさらに詳細なデータを示した。石炭消費量は北京で2000万トン、天津で7000万トンに達し、河北省は3億トン、山東省は4億トンにおよぶ。華北地域全体では毎年10億トンの石炭を燃やしている計算になる。
国土面積が中国と同程度の米国では、石炭消費量は全国でも11億トンに過ぎない。このように膨大な石炭消費量を見れば、有害濃霧を追いやることのできない理由の説明が難なくつく。
国務院発展研究センターの周宏春研究員は、1カ月間に5日間しか青空が見られなかった現実を前に、経済成長パターン転換のスピード・アップが必須だと指摘する。
環境保護部汚染対策局の趙華林局長は「中国はすでに『重点地域大気汚染対策第12次五カ年計画』で石炭総消費量規制構想を打ち出した。北京・天津・河北省地域、長江デルタ、珠江デルタ、および山東省の都市群で石炭総消費量規制の試行を先駆けて行い、石炭総消費量規制を通じて地方政府にクリーンエネルギーの積極的な発展、産業構造の調整を強制する可能性がある」と述べた。
国家発展改革委員会エネルギー所の姜克雋研究員は、石炭消費の総量規制は有害濃霧の改善に非常に重要な役割を果たすと指摘する。北京を例に取ると、有害濃霧の原因は石炭燃焼が4分の1、自動車が4分の1占め、油煙は4分の1未満で、有機物揮発物と粉塵などが4分の1を占める。石炭総消費量規制は汚染の4分の1に大なたを振るうに等しい。
1月30日の国務院常務会議では、2015年までに中国のエネルギー総消費量を標準石炭換算で40億トンに抑制する方針が打ち出された。「エネルギー消費の越えてはならない一線を国が示したもので、今後石炭消費量の伸びは厳格に規制される。その波及効果として、エネルギーを大量に消費する重化学工業もエネルギーのボトルネックに直面する」と指摘される。
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