▽分析:買い増しは戦略的考察による
劉副院長によると、中国が日本国債を大量に買い増ししたのは、日本国債の債務リスクが低いからではなく、日本の公的債務の対国内総生産(GDP)比が200%を突破したからだ。
劉副院長の見方によると、中国が日本国債をさらに買い増ししたのは、戦略的な考察に基づくものだ。地域経済が一体化に向かって発展し、取引通貨のニーズが高まるのに伴い、中国の日本国債買い増しは中日双方の貿易における直接取引コストを引き下げ、外貨準備の非対称がもたらすリスクを軽減させる上でプラスになるという。
だが劉副院長は次のような見方も示す。日本国債を大幅に買い増ししても、今後も引き続き中国の外貨準備では米国債が主要な位置を占めるとみられ、日本国債買い増しによって米ドルの地位が根本的に変わることはない。最新のデータによれば、今年2月末現在、中国が保有する米国債は1兆1789億ドルに上るという。
復旦大学経済学院の孫立堅副院長は取材に応える中で、「中国が日本国債を保有するのは長期的な選択ではなく、資産のペアの調整における一種の必要性によるところが大きい。また日本国債の収益性をより強調するものでもある。円高はまさに、米ドルやユーロの値下がりが中国にもたらす外貨準備資産の価値低下に対するリスクヘッジになりうる」と述べた。
また孫副院長は、「6月1日にスタートした人民元と日本円との直接取引や中日間の相互依存関係の強化に伴い、中国がより多くの日本円を保有する状況の下で、中国は引き続き日本国債を買い増しする可能性があり、日本も中国国債をより多く買い入れる可能性がある」と述べた。
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