▽米国は対中経済貿易協力から全面的な恩恵:消費者の福祉拡大と雇用単位の増加
中国との経済貿易協力において、米国は対中輸出・投資から直接恩恵を受けているだけでなく、広い範囲で巨大なマクロ経済面の利益を得ている。真っ先に挙げられるのは、中国の対米輸出が米国の消費者の福祉を大幅に拡大しているという点だ。
ある統計によると、米国市場に進出した中国製品のうち、ファッション製品・靴・靴下、玩具・パッケージ用品、電子電器製品といった日用品が約75%を占めている。安価で質の高い中国製品が米国国民の生活を極めて豊かなものにし、米国の消費者の選択肢を拡大し、米国国民に、とりわけ中・低所得層に実質的な恩恵をもたらすとともに、巨額の「双子の赤字」の圧力にさらされる米国が比較的低いインフレ率を維持することを可能にしている。
モルガン・スタンレーがまとめた研究結果によると、米国人は中国原産の商品を購入することを通じて、09年は一人当たり平均約300ドルの出費を節約できたという。米中貿易全国委員会の研究結果によると、対中貿易投資の伸びにより、2010年の米国の国内総生産(GDP)成長率は0.7%引き上げられ、同期の物価は0.8%引き下げられたと推計する。両者を合わせると、米国の世帯当たり可処分所得が年間1千ドル増加したことになるという
中米間の経済貿易協力は米国の雇用単位を効果的に増やしてもいる。2010年1月、米商務省のケイリー・ロック長官は米中貿易全国委員会でのスピーチの中で、「対アジア輸出が1ポイント成長するごとに、米国で10万人分の就業機会が新たに増える」と述べた。この数字に基づいて計算すると、01-08年に米国では対中輸出によって257万人の雇用が生み出されたことになる。
中国企業の対米直接投資が最近、急速な勢いで増加しており、米国の雇用情勢に積極的な貢献をしている。中遠集団、中国石油天然気集団、聯想(レノボ)といった対米投資を行っている中国の大手企業が、米国に雇用機会を提供しており、相当の経済効果や社会的効果を上げている。海爾(ハイアール)集団は1999年にサウスカロライナ州に工業パークを設立したのを皮切りとして、これまでにカムデン市で数千人分の雇用を生み出し、同市では海爾の従業員がいる世帯は10世帯に1世帯に上り、また同市は年間20万台の家電製品を生産する「家電の町」に発展した。万向集団は約30件の対米投資を行い、米国で約5千人の雇用機会を生み出した。09年には米国企業が大規模なリストラを行ったことを受け、同集団は新規投資を通じてイリノイ州で一連の新たな雇用機会を生み出した。
中米経済貿易協力の発展は、グローバル化を背景とした国際分業の一層の深化の結果といえる。このプロセスの中で、米国自身の優位点がより一層発揮され、とりわけ中国の豊富な労働力資源と米国企業の資金、技術、管理の優位点とが結びついて、米国製品と米国企業の国際競争力が高まり、米国企業の国際市場シェアが拡大し、米国産業が高付加価値分野に移行するための条件づくりも行なわれた。コンピューター製造を例に取ると、08年に中国は各種コンピューター1億5千万台を生産し、搭載された中央処理装置(CPU)チップはほぼすべて米国のインテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズから輸入されたものだった。
中国は現在、米国国債の世界一の保有国だ。米財務省がまとめた統計によると、2010年10月末現在の中国の保有残高は9068億ドルに達するという。国際金融危機の頃、中国は米国債を売却しなかったどころか、買い増しをし、米国が金融市場の安定を保ち、流動性を増強し、貸し渋りを緩和し、貿易融資を促進する上で重要な役割を果たし、米国のマクロ調整目標の達成にプラスになった。米国議会調査局が09年7月に発表した報告は、中国が米国債を大規模に購入しなかったなら、米国の金利は0.5ポイント上昇したとの見方を示す。このデータに基づいて計算すると、米国は中国によって国債の利息を年間約616億ドル節約できたことになる。(編集KS)
「人民網日本語版」2011年1月17日 |