一方、ロシア科学院極東研究所の副所長・中国経済社会研究センター主任のオストロフスキー氏は、中国によるこの重要な選択は、中国経済が急速成長を続けることに利するのみならず、世界経済の成長の歩みにも重大な影響を及ぼすことになるだろうと考えている。
オストロフスキー氏は、「このような(経済成長様式の変革を早める)施策は、世界経済の成長に好ましい影響を与えるはずである。なぜなら、中国経済の成長とその成長速度は、世界経済の成長速度に大きく影響するからである。これは既に公認の事実だが、2009年、中国経済があのような高い成長水準を維持していなかったなら、世界経済は更に深刻な状況になっていただろう。いまや中国は世界経済の成長を牽引する筆頭的存在である。長年にわたって世界経済成長の主導的立場を務めてきたアメリカと日本が、金融危機後の世界経済においてどのような役回りを演じるのか、我々は現時点ではっきりとした答えを得ていないが、中国経済が自信を持って成長へと着実に歩み出しているのは確かである」と述べている。
中国が提唱する経済成長様式変革においては、世界の趨勢に従い、低炭素型の経済成長を実現し、経済成長と環境保護を両立するということが要点となる。これについて、日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員の佐々木智弘氏は、中国がこの変革をいかにして成し遂げるかが世界に対する手本となると考えている。
「経済成長様式の変革とは、急速成長の経済を持続的成長の経済に変えることだと私は理解している」と佐々木氏は述べる。「この過程においては、環境保護型・省エネ型産業構造への変革が重要になる。もっとも、これは中国に限らず、日本やアメリカなどの先進国を含む全世界にとっても重要な課題である。よって、中国が今後どのように経済成長様式の変革を進めるのか、どのような成果を得るのか、こういったことが世界各国にとっても一つの指標となる」。
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