トヨタ自動車は、北米とヨーロッパ市場でのシェアが大きいため、リコール事件による影響も大きい。しかしそれに比べ、中国やインド、東南アジアでのシェアは小さいため、影響がないわけではないが、比較的に小さい。
2008年、トヨタの米国、ヨーロッパ、日本国内での販売台数が年間販売台数に占める割合は3分の2以下だったが、10年前は80%以上を占めていた。米AP通信は、「リコール事件により、トヨタは米国で『猛烈で無情』な逆襲を受けている」という言い方をしている。トヨタの品質面と安全面の保証を考え、米国のユーザーは裏切られたと感じたようだ。だが、新興市場では、シェアが小さくリコールされた車も少ないため、トヨタのイメージがひどく損なわれることはなかった。
新興市場での影響は少ない
インドでは、リコールの危機にそれほど気が配られなかった。トヨタ自動車のインド支社であるトヨタ・キロースカー・モーターズ社(TKM)のサンディープ・シン報道官は、「3月にトヨタの新型ハイブリッドカー『プリウス』を輸入する計画に変更はない」としている。それと同時に、インド市場向けに開発された小型車「エティオス」も来年初めに市場に出回ることになっている。
タイはトヨタ最大の東南アジア市場であり、主な輸出国でもある。AP通信の報道によると、現地の人々のトヨタブランドを絶賛する声は昔のままである。今年1月、タイにおけるトヨタの売り上げは昨年同期より約50%伸びた。
「私はトヨタ車を運転して20年になるが、何の問題もない」と、50歳のバンコクに住むタイゼ・ナンタバンナヌさんは話す。彼は今、2001年に製造されたトヨタ「カムリ」を持っている。
市場が移転?
中国はトヨタの主な海外市場の一つだ。AP通信の統計データによると、昨年のトヨタ自動車の中国での販売台数は約70万9000台だった。
「誰でも中国の市場を議論するとき、インドネシア、タイ、ブラジルや南アフリカも考慮に入れるのではないか。(トヨタの)これらの地域での発展は非常に速い」と、フランスのCLSAキャピタル・アジア太平洋市場の自動車業アナリストであるコリストフ・リシタイ氏は語る。トヨタは現在、ブラジルやタイなどの国で売り上げ2桁増を目指しているという。
株式会社アドバンスト・リサーチ・ジャパンの遠藤功治シニア・アナリストは、「中国とインド市場が向こう数年、非常に重要になることは間違いない。トヨタを含む主な自動車メーカーにとって、近いうちに、この2つの市場は米国市場よりもっと利益が得られる市場になるだろう」と語った。
「チャイナネット」 2010年2月20日 |