宇宙空間に太陽光発電基地を建設---まるでサイエンス・フィクションのようだが、一部の国では今これを現実のものにする努力が重ねられている。
日本政府はこのほど、数十億ドルをかけて太陽光発電基地を建設する計画を練っていると発表、発電基地の見取り図を公開した。数平方キロメートルにわたって太陽光パネルを設置、地球の大気層外側の宇宙に浮かべて太陽光を集め、地球の発電に回すというのだ。また、米国のあるハイテク企業も、対地同期軌道上に送った衛星の太陽電池パネルを利用して太陽光を集め、地上に送り電力に変えるというに似たような計画を明らかにしている。同社はこの技術開発を2016年までに完成すると宣言している。
これらは人類の新エネルギー開発に向けた非常に重要な努力だ。人類は長年、生産と生活において石油や石炭などの化石燃料を使い続け、燃料の需要量の増加に伴い、再生不可能な燃料が徐々に減少してエネルギー危機に直面、世界はすでに「燃油高の時代」に突入した。エネルギー安全問題は多くの国に大きな課題を突き付けている。このほかにも化石燃料を大量に使うことで環境汚染や二酸化炭素排出量が増し、地球温暖化を招き、私たちが暮らす地球環境は悪化、人類はもうひとつの重要な課題に直面している。このような背景の下、省エネ・排ガス削減やエコ発展は必然的な選択であり、化石燃料に代わる新エネルギーの必要性は日増しに切迫している。
いわゆる新エネルギーとは、従来の燃料に対する言い方で、それほど研究開発の年月が経っていないエネルギーを指す。例をあげると、太陽エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギー、海洋エネルギー、バイオエネルギー、原子力エネルギーなど。新エネルギーは汚染が少ないため「クリーンエネルギー」や「エコエネルギー」とも呼ばれる。新エネルギーのうちの太陽エネルギーなどは際限のない再生可能エネルギーで、エネルギー不足や環境汚染問題の解決に重要な意義を持ち、各国から注目を集めている。
国際連合環境計画(UNEP)が発表した「2009年地球の持続可能なエネルギー投資の傾向」報告によると、ここ数年、クリーンエネルギーへの投資が急増している。2008年の投資は全世界で1550億ドルにのぼり、初めて石炭や石油など化石燃料への投資の1110億ドルを上回った。なかでも風力エネルギーへの投資が最も多く518億ドル、太陽エネルギーへの投資が335億ドルで第2位だった。2009年には新エネルギーの技術開発投資は一部の国で金融危機への対応や経済振興に向けた重要な構成部分となった。米国が今後10年で1500億ドルの投資計画を立てている一方、EUでは昨年3月に新エネルギーを含むエコ経済発展計画を打ち出し、今後4年で1050億ユーロを投資する計画だ。日本や韓国も同じような対策を立てている。各国は今、新エネルギーの最先端を目指し競い合っている。
すでに一部の新エネルギー技術は急速に向上し、幅広く応用されている。スペインで建設中の同国最大の太陽光発電所は2万5000世帯の家庭に電力を供給できる(2011年に完成予定)。韓国やインド、ロシアなど13カ国では53基の原子炉が建設中だ。米国でも数十基の原子炉を建設する計画を立てている。また、風力エネルギーの利用面では、英国がデンマークを抜き世界最大の沖合風力エネルギーの生産国となった。さらに2020年には風力エネルギーが英国のエネルギー利用率の30%を占めるという楽観的な予測もある。米国は2012年までに国内の発電総量の10%を風力エネルギーや太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーで賄い、2025年にはこの割合を25%にまで伸ばす計画だ。
新エネルギーの技術開発と応用に制約をかける要素が高いコストと投資だ。専門家によると、技術の進歩に伴い、新エネルギーのコストは徐々に下がっていくという。新エネルギーは化石燃料への依存を減らし、エコ経済という新たな希望を育み、前途多望でメリットが大きい。(編集KA)
「人民網日本語版」2010年1月8日 |