ロンドンサミットへの影響
4月2日に開催されるG20ロンドンサミットが間近に迫り、EUは内部の協調を急ぎ、サミットで「団結して有力な声」を発するつもりである。しかし、中・東欧の債務危機は新旧欧州の対立を招いた。EUがいったい団結した姿で登場するのか、分裂した姿で登場するのかが注目されている。
新旧欧州間の対立はEU内部の対立に属し、主に新しいヨーロッパは、古いヨーロッパが危機の中で援助の手を差し伸べることを望んでいるが、古いヨーロッパは、自らを維持させることすら難しい状況のもとで新しいヨーロッパの要望を満たすことを望んではいないと思われる。中・東欧諸国はなんと言ってもG20の参加国ではないため、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの大国がこのEU内部の食い違いをロンドンサミットで検討する可能性はないだろう。その上、ロンドンサミットの開催はある程度、新旧欧州の対立の緩和に役立つだろう。
ロンドンサミットについて、EU加盟国は多くの共通認識に至っているが、中でも最も重要な措置は、国際通貨基金(IMF)への資金注入を2500億ドルから5000億ドルに増やすよう国際社会に呼びかけることである。EUがこの動議を提出した直接の原因は中・東欧諸国を助けることにある。本来ならば国際的な支払危機の解消はIMFの職責であるべきだが、IMFは資金に欠け、中・東欧諸国の債務危機に対し助力する気はあってもその力が不足している。
EUは国際社会がIMFへの資本注入を増加するよう切望しており、中・東欧諸国が危機を乗り越えるための救済能力をIMFに持たせ、自らの圧力を緩和しようと考えている。EUがロンドンサミットで推進するもう1つの重要な議題は、同様な危機の再発を免れるため、国際金融の監督・管理を強化することだ。フランス、ドイツなどの西欧諸国は自らをアメリカ発の金融危機の被害者であると考えており、昨年の金融危機発生後、全力を尽くして国際金融の監督・管理の強化を推進している。最近、この金融危機はついに西欧を経て中・東欧へと広がった。国際金融の監督・管理の強化は、このような危機の再発が中・東欧に波及することを免れるのに役立ち、新旧欧州の共通の利益に合致している。
このほか、EUがロンドンサミットで提起するその他の議題について、新旧欧洲にははっきりした食い違いはない。このため、金融危機は新旧欧州の対立の激化をもたらしたものの、ロンドンサミットにおけるEUの立場は基本的に一致している。
ロンドンサミットでEUが直面する試練は外部からのものである可能性があり、アメリカ、日本や新興国など、その他の国がいずれもロンドンサミットで自らの主張を展開することは、EUにとってプレッシャーとなるだろう。
(中国現代国際関係研究院欧州所) |