2008年12月13日、日本福岡で開催された中日韓3カ国首脳会議は中日韓自由貿易協定(FTA)の共同検討を推進し、3カ国協力の新しい里程標となった。中日韓協力の強化は金融危機に対応できるだけでなく、東アジア経済の安定と平和的な発展を推し進めることができる。
金融危機に包まれる日本
2008年10月までは、アメリカ発金融危機による日本への衝撃はまだ顕在化しておらず、日本金融界はアメリカで苦境に陥った金融企業を積極的に買収した。これはアジア金融危機の際にアメリカが日本企業を買収したことへの報復だ。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループはモルガンスタンレーの20%の株式を買い入れ、みずほ銀行や三井住友銀行などもウォール街の資産の買収に参与した。
昨年10月に入ってから、日本ではさまざまな不祥事が現れた。まずは日本の中規模保険会社の大和生命保険がアメリカのサブプライムローンなどの影響を受け、債務額27億ドルで倒産した。債務金額で計算すれば、これは今年五番目の日本企業の倒産であり、2001年以来、倒産した最大の保険会社でもある。続いて日本最大の金融機関、三菱UFJフィナンシャル・グループが市場の動揺のあおりで、107億ドルの資本金を調達することを明らかにした。みずほと三井住友の二大大手金融機関もさらに増資する必要がある。日本最大の証券会社である野村ホールディングス株式会社は株式市場の低迷と取引の損失の影響を受けて、第3四半期に大幅な欠損が出た。
このため、日本が打ち出した「内需主導」はスローガンにすぎなくなった。日本経済は外需が主導するもので、輸出が増えてはじめて、経済の成長を促進することができる。世界的金融危機において、アメリカとヨーロッパ諸国が不景気であるため、上述地区への輸出が増える可能性は大きくないのに対し、発展途上国への輸出は増える可能性がある。日本は発展途上国と自由貿易協定(FTA)または経済連携協定(EPA)の締結を通じて両国間または多国間の協力関係を強化し、輸出を増やすとともに、自国市場を開放し、相手国の商品の輸入を受け入れることで二国間もしくは多国間に共に有利となる効果をあげられるだろう。
新世紀以来、中日両国の経済発展に伴って、双方の相互補完性はさらに強化され、経済貿易協力が絶えず拡大され、日本は4年連続して中国の第3の貿易パートナーとなり、2008年9月現在、日本は対中直接投資プロジェクトが4万件余、総金額が644億ドル余に達し、対中国直接投資額が最大の国となった。日本の対中政府借款、無償援助は中国経済の急速な発展に重要な役割を発揮した。現在、中国はアメリカを抜いて日本の第1の貿易パートナーとなり、2008年1~10月の両国の貿易額は前年同期比17.7%増の2258億6000万ドルに達し、年間貿易額は約2700億ドルに達して、史上最高を記録し、両国国交正常化40周年を迎える2012年には双方の貿易額は3000億ドルに達するか、それを超える見通しだ。両国の経済貿易協力を固め、拡大するため、中日両国はFTA関係の確立を検討すべきである。
金融危機に対応する韓国
今回の世界金融危機においては、韓国も例外なく打撃を受けている。外資銀行が資金を撤退し、株式市場の主要指数は40%近く下がり、2008年11月24日、韓国ウォンの対ドルレートは11年来の最安値となり、累計で38%下落した。
だが、見極めるべきことは、今日の韓国は10年前と比べて経済状況が顕著に改善され、アジア最大の経済体の一つとなっていることだ。現在、韓国の主要経済指標はいずれも10年前の1997年のアジア金融危機時よりも良い。特に韓国は1997年の金融危機を経て、過酷な条件付きのIMFからの援助を受け、金融危機に対応する貴重な経験を積んでいる。
2008年以来、中韓経済貿易は持続的に伸びており、1~10月の貿易額は前年同期比25.4%増の1623億3000万ドルに達し、主要貿易パートナーであるアメリカと日本の伸び率の各13.8%、17.7%を上回った。今年、両国の年間貿易額は昨年のレベルを超えて約1900億ドルに達し、さらに史上最高を記録する見込みである。
中韓両国のFTAについては共同検討がすでに5回行われ、2009年には交渉に入る予定で、両国のFTAが構築されれば、双方の経済貿易関係は新しい段階に入ると思われる。それとともに、中日韓三国の二国間通貨スワップの拡大を推し進めるため、中日両国はそれぞれ韓国と300億ドルの通貨スワップ協定を締結した。
中国は日本、韓国とは友好的な隣国であり、お互いに主要経済貿易協力パートナーでもある。ますます激化する金融危機の中で、中日韓経済貿易協力を固め、発展させることは、危機に対応する最もよい選択肢の一つとなるだろう。
「北京週報日本語版」2009年3月11日 |