本誌記者 繆暁陽
2月5日、中国最大のパソコンメーカー、聯想(レノボ)グループは2008年10月~12月期の業績について、9700万ドルの赤字を出したと発表した。困難に直面しているレノボはトップの交代を決め、創始者の柳伝志氏が会長に、元会長の楊元慶氏が最高経営責任者(CEO)にそれぞれ就任すると発表した。金融危機の嵐に直撃され、IT界のゴッドファーザーと称えられた65歳の柳伝志氏が再びレノボの舵をとり、背水の陣で臨む決意を示した。同氏は「レノボの国際化への歩みは決して揺るがない」と強調した。
目下の困難に対し、柳伝志氏は「レノボの財務問題は主に世界的な金融危機が引き起こしたもの。大企業はコストを削減するときに、まずIT投資を停止し、次に社員をリストラする。レノボの国際業務は主に大企業向けに販売しているので、売上げが大幅に減少した」と指摘した。そして、「発展の仕組みを少し調整しなければならない。中国と新興地域がレノボの経済的基礎、事業の基礎であり、その関連業務をしっかりやり、今後の国際化を進めるために準備する」と述べた。
IBMのPC業務部門を買収した後、レノボは国際的企業への転身を実現した。国際化への歩みが始まった後、レノボは中国市場ではかなり安定して発展してきたが、米国市場で深刻な損失を出した。これに対し、柳伝志氏は、「現在、すべての国際化を進める中国企業は大きな困難に直面している。国際市場において自分をブランド化する場合には、二つの方法がある。一つは国外で自分のブランドを進めることで、もう一つは他人のブランドを買収することだ。金融危機の前、レノボの2007年度の売上げは169億ドルに達し、利潤額は4億8000万ドルになった。IBMのPC業務部門を買収する前に比べて著しく増加した。海外業務が買収・合併後もこうした業績を維持できるのはとても良いことだ。中国企業が外国企業を買収・合併した後はそのブランドが認められなくなる可能性が高い。この数年間の努力を通じて、ThinkPadのブランドは依然として認められているが、これは容易ではないことだ」と語った。
レノボの国際戦略が戦術的なタブーを犯し、戦闘力を分散したため今の大きな困難をきたしたという世論に対し、柳伝志氏は、「これは理想と目標の問題だ。国内で発展し続けることは1つの目標だが、海外に進出するのは国内の発展とは違う1つの目標だ」と述べ、レノボが偉大な国際企業になることを望んでいる、と語った。
レノボ・グループの目標と方向は相変わらず国際企業になることだ。しかし、この目標を実現する間に、世界経済には極めて大きな変化が発生した。今後の発展戦略について柳伝志氏は、「欧米市場で足元をしっかり固め、現在の拠点を守らなければならない。欧米市場では専らビジネスコンピュータ、ビジネスパートナーである取引先の業務を行う。以前はビジネスパートナーである取引先の業務も行い、また消費者である取引先の業務も行い、両方を行った。これからは、供給対象を更に絞りこみ、企業にもっと強い生命力を与え、コストを更に下げ、効率を更に上げる」と述べた。
中国と新興市場を固める戦略については、柳伝志氏は、「中国、インド、ロシア、ブラジルなどの新興市場でもっと大きな発展を遂げる必要がある。個人消費用製品をさらに発展させるのが今の主要戦場だ。世界経済が困難な時期に直面しているいま、レノボは中国などの新興市場でもっとしっかり足場を固めなければならない。気候が暖かくなったらすぐに、先進国市場向けの攻勢に出て、新たな分野に攻勢をかけることになる」と述べた。
「北京週報日本語版」2009年2月19日 |