――今年は中国共産党創設90周年に当たります。中国共産党の歴史は研究されたことがおありでしょう。深く印象に残っている点は。
わたしは20世紀の共産主義運動の比較史を重点的に研究しているところです。主要な対象はソ連と東欧ですが、アジアとくに中国の共産主義運動は独特の状況を呈していて、共産主義運動史における「壮大なる一章」と言っていいでしょう。
中国共産党創設時、その初期の動機は、わたしに非常に前向きな印象を与えてくれました。創設前、中国には社会主義運動も、労働者運動もありません。1920年代、共産党の創設を機に労働者運動の新たなブームが巻き起こり、中国共産党は自らの発展に向けた道を歩み出し、しかも帝国主義侵略の目的に反対する姿勢を一貫して堅持しました。抗日戦争の間に、中国共産党の力量は次第に強大になっていきました。
中国共産党がその後の発展の過程で経験した極めて大きな変動、それに伴う代価と犠牲も、深く印象に残っています。それに、非常に良い印象を与えてくれたのは、「文化大革命」時のイデオロギーへの過度の関心を体験した鄧小平氏が、いくつかの簡潔で練れた字句を用いることで、イデオロギーの強調をできるだけ少なくし、中国を指導して政治方針の完全なる転換を実現したことです。これは当時の経済・社会発展を尊重した現実的な転換だと言えます。
――長年にわたり各国の共産主義運動の研究をされてきましたが、中国共産党に対してはどんな提言がおありでしょう。
歴史問題を詳細に研究するほか、とくに中国の今後の発展に関心を寄せなければなりません。中国について言えば、その他の国と同様、国情が相対的に単純であった過去に戻るのは不可能ですし、それは実際、決して理想的な状態ではありませんでした。わたしの研究によれば、ソ連は80年代末、解体の原因は単に経済運営に問題が生じたからではなく、最終的に、当時のクレムリンにおける党中央があのますます複雑化する国家を根本的に統治し、掌握することはもうできなかったことです。当時の中央は、国内に一体なにが起きたのか、どうしたら問題の所在を真に見いだせるのか、はっきりさせることができなかったのです。
いま自然と、こんな疑問がわきました。中国社会は現在の諸問題に対応するため、十分な自制機構と、弁証的批判の手段を持っているのかどうか。いまある問題を説明するには、思想を解放し、民主を推進し、献策を望むすべての人が積極的に参与するよう奨励することが大切です。
「北京週報日本語版」2011年6月29日
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