◆「マルクス主義の中国化」を体験
中国というこの社会主義国と縁を結んだことで、コプフ氏はマルクス・エンゲルス理論の具体的実践問題について、より深く認識するようになった。人びとは過去の問題の回答を用いて今日遭遇している実際的な問題を解決することはできないが、マルクスとエンゲルスの分析と総括を当今の問題について検討するための指針とすることはできると言う。さらに、コプフ氏は「中国の政治指導部は過去の少なくとも30年もの間、まさにこのような思想を用いて自らの行為を指導してきました。97年に中国に来て仕事をしてから、幸いにもこの過程を肌で感じ取りました。中国共産党は社会主義の建設を指導する過程で、マルクスとエンゲルスのこの面に関する助言を真剣に考え、内外の形式を総合的に観察し、その後で現況を正しく評価するとともに、改革開放政策を通して発展戦略を成功裏に実施してきたのです」と指摘。
「もしエンゲルスが、中国共産党が78年から今日まで行ってきた実践と実施してきた政策を目にすることができれば、きっとこのプロセスを1つの革命として称賛することでしょう。一方、マルクスは、中国の発展プロセスはその著書『資本論』第1巻で得た結論を実証していると考えることでしょう。社会問題や社会の衝突、社会の苦境は矛盾を発展させることでしか解決できず、矛盾に対する単純な排斥や消滅を通して解決するのではありません。矛盾の発展、これは社会問題を解決する重要な道なのです」、とコプフ氏は強調する。
◆並大抵ではない中国共産党の任務
中国共産党は社会主義建設の面で目を見張るような成果を収めた。だが、コプフ氏は、全人類史の過程で、中国共産党のようにこれほど極めて困難な任務、即ち、世界の4分の1の人口を養わなければならない任務に直面したことのある共産党(ソ連共産党であれ)はない、と考えている。
中国はおよそ960万平方キロと、ヨーロッパ大陸全体の総面積に相当する。この膨大な土地では、気候・地理的条件はそれぞれ異なり、少数民族の発展段階もそれぞれ異なり、北京や上海といった高度に発展した国際大都市もある。
そのため、今後の発展の段階で、中国共産党が直面する状況も煩雑かつ複雑であり、実践の中で社会を前進、発展させる道を切り開くことで、優れて効果のある自らの目標を実現しなければならない。
コプフ氏は次のように考えている。「20年になる前に、世界経済の枠組みは変化し、経済危機が一旦、収束すれば、中国は真っ先に成長する経済強国になることでしょう。中国は自ら経済的に優勢となり、数十年前のように米国と西側列強の政治的脅迫と軍事的脅迫を受けることはなくなり、中国が大国に強要される時代は永遠に過去のものとなるでしょう。中国の発展はいまも多少の困難に直面、とくに世界的な経済危機の影響を受けるでしょうが、中国は危機を克服し、持続的な発展を遂げると固く信じています」
「北京週報日本語版」2011年6月28日
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