賀新元(中国社会科学院マルクス主義研究院)
国務院の「2009年中国人権白書」が言う「全国で少数民族の幹部は合わせて290万人余りおり、幹部総数の約7.4%を占める」に基づいて推算すれば、09年現在、中国の幹部総数はおよそ3900万人、総人口の約2.91%を占める。中国の特色ある社会主義を建設するには、こうした幹部がいなくてはならない。中国において、幹部が内包する意味は事業の中核的存在、大衆の公僕である。幹部とは、自らが担うそれぞれの具体的仕事をもって人民に奉仕することである。一言で言えば、幹部とは大衆を教育し、組織し、指導してある事業を完成させる人である。
いかにして人民に幹部を信頼してもらうか。いかにして幹部が人民に奉仕するようにさせるか。これは中国共産党の革命、建設及び発展において徐々に形成されてきた完ぺきな、中国の特色を備えかつ比較的科学的な幹部考査制度に役に立つ。
考査はどの面から着手するのか
中国共産党の幹部の考査は主に「徳・能・勤・績・廉」の5つの面からなる。
「徳」とは即ち、品徳、道徳のことである。中国は昔から「徳は水の源の如し」と言われてきた。われわれの党は一貫して「徳」を幹部考査の最も重要な基準と見なしてきたが、ここで言う「徳」には政治思想上の品徳、倫理道徳、職業道徳、社会道徳、個人の心理的道徳などが含まれる。中国において、最も重要な「徳」は政治思想上の品徳であり、幹部が成長・発展する方向を決定する要素であり、全社会の発展方向に対し風向計の役割を果たしている。その他の面における「徳」も、幹部の「公僕」としての身分に不可欠な有機的な一部である。幹部の「徳」を考査する過程において、カギとなるのは、その政治的立場、思想的資質と職業道徳を考査することである。
「能」とは即ち、能力、才能のことである。人民に奉仕し、大衆を教育し、組織し、指導してある事業を完成させる総合的な能力であり、ここで言う「能」には身体的素質、基本的な仕事の能力など一般的な能力と、業務能力や管理能力、指導能力、創造または革新能力、執行能力、経験など特殊な能力が含まれる。幹部の「能」を考査する過程において、カギとなるのは、その本職とする仕事と関係する業務、技術、管理のレベルを考査することである。
「勤」とは即ち、仕事の態度、積極性のことである。ここで言う「勤」には組織・紀律上の態度、積極的な態度、本職における勤勉で仕事を敬う態度、出勤率などが含まれる。「勤」では仕事の実践に重きが置かれている。幹部の「勤」を考査する過程において、カギとなるのは、その本職とする職場における勤勉で仕事を敬う精神と労働・作業紀律の状況、すすんで研鑽しているか、業務で向上を重ね、労苦をいとわず、革新に努めているかどうかを考査することである。
「績」とは即ち、仕事の実績のことである。ここで言う「績」には仕事の指標上の実績、仕事の効率上の実績、仕事の効果・利益上の実績が含まれる。幹部の「績」を考査する過程において、カギとなるのは、その職責の履行、任務の達成状況、数や質、効果・利益、成果のレベルなどの状況、経済・社会の発展に及ぼす直接または間接的な貢献を考査することである。
「廉」とは即ち、仕事上の品行方正のことである。中国は昔から「公の心があれば、問題は明らかに解決でき、廉潔であれば、威信と信望が得られる」と言われてきた。ここで言う「廉」には主に廉潔奉公、厳格自律が含まれる。実際の考査作業において、幹部の「廉」の考査は、党と国の清廉かつ公正な関係規定を執行するとともに、自らに厳しく求めることができるかどうか、法律や法規に違反してはいないか、不健全な行為を自覚的に抑制し、公に奉仕することができるかどうか、廉潔・自律などの状況に集中している。
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