二、社会主義革命と社会主義建設について。毛沢東同志と中国共産党は、新民主主義革命の勝利によって生み出された社会主義への移行の経済的政治的条件にもとづいて、社会主義的工業化と社会主義的改造を同時にすすめる方針をとり、生産手段私有制を逐次改造する具体的政策を実行し、中国のように世界人口の四分の一近くを占め、経済と文化の立ちおくれた大国で社会主義制度を確立するという困難にみちた課題を理論と実践の面から解決した。毛沢東同志は、人民内部における民主の面と反動派にたいする独裁の面とを結びつけたものが人民民主主義独裁であるという理論を提起し、プロレタリア独裁についてのマルクス·レーニン主義の学説を豊富にした。社会主義制度がうち立てられてのち、毛沢東同志はこう指摘している。社会主義制度のもとでは、人民の根本的利益は一致しているが、人民の内部にはなおさまざまな矛盾が存在しているので、敵味方の矛盾と人民内部の矛盾を厳密に区別し、正しく処理しなければならない、と。毛沢東同志は、人民の内部において、政治の面では「団結―批判―団結」、党と民主党派との関係の面では「長期共存、相互監督」、科学、文化の面では「百花斉放、百家争鳴」、また、経済活動の面では全国の都市と農村の各階層にたいして全般的な調整をおこない、国家、集団、個人の三者の利益を配慮するなど一連の正しい方針を実行すべきあると主張した。毛沢東同志は、中国が大きな農業国であるという状況から出発して、農業を基礎とし、重工業と農業、軽工業との関係を正しく処理し、農業と軽工業の発展を十分に重視し、わが国の国情に適した中国工業化の道をさがしあてる必要があると強調し、また外国の経験を機械的に導入してはならない、としばしば強調した。毛沢東同志はまた、社会主義建設のなかでは、経済建設と国防建設、大型企業と中小型企業、漢民族と少数民族、沿海地区と内陸地区、中央と地方、自力更生と外国への学習などの諸関係をたくみに処理するか、蓄積と消費の関係をたくみに処理し、総合的なバランスをとることに意をそそぐべきだと強調した。毛沢東同志はまた、労働者は企業の主人公であるから、幹部の生産労働への参加と労働者の企業管理への参加、不合理な規程、制度の改革、ならびに技術者、労働者、幹部の「三結合」を実行すべきであると強調した。毛沢東同志は、あらゆる積極的要素を動員し、消極的要素を積極的要素に変え、全国各民族人民を結集して社会主義の強大な国家を建設するという戦略的思想を提起した。社会主義革命と社会主義建設についての毛沢東同志の重要な思想は、『中国共産党第七期中央委員会第二回総会での報告』、『人民民主主義独裁について』、『十大関係について』、『人民内部の矛盾を正しく処理する問題について』、『拡大中央工作会議における講話』などの主要な著作に集約されている。
三、革命的軍隊の建設と軍事的戦略について。毛沢東同志は、主として農民からなる革命的軍隊を、いかにしてプロレタリア的性格の、厳格な規律をもつ、人民大衆と緊密に結びついた、新しい型の人民軍隊にきずきあげるかという問題を系統的に解決した。毛沢東同志は、誠心誠意、人民に奉仕することが人民の軍隊の唯一の目的であると規定し、鉄砲が党を指揮するのではなく、党が鉄砲を指揮するのだという原則を定め、三大規律·八項注意を制定し、政治、経済、軍事の三大民主の実行を強調し、将校と兵士との一致、軍隊と人民との一致、敵軍を瓦解させることなどの原則の実行を強調し、軍隊の政治工作における一連の方針と方法を提起し、総括した。毛沢東同志は『党内のあやまった思想の是正について』、『中国革命戦争の戦略問題』、『抗日遊撃戦争の戦略問題』、『持久戦について』、『戦争と戦略の問題』などの軍事的著作のなかで、中国の長期にわたる革命戦争の経験を総括したあと、人民の軍隊を建設する思想を系統的に提起し、人民の軍隊を中核とし、広範な人民大衆に依拠し、農村根拠地をうち立て、人民戦争をすすめるという思想をうち出した。毛沢東同志は遊撃戦争を戦略的次元にまで引きあげ、中国の革命戦争の長期にわたる主な戦闘形態は遊撃戦と遊撃的性格をおびた運動戦であると見なした。毛沢東同志は、敵味方の力関係の変化と戦争の発展にともなって軍事的戦略の転換を正しくおこなうべきであると論じた。毛沢東同志は革命的軍隊のために、敵が強く味方が弱い情勢のもとでは、戦略的な持久戦と戦役、戦闘での速決戦を実行し、戦略上の劣勢を戦役、戦闘での優勢へ転換させ、優勢な兵力を集中して敵を各個に殲滅するなど、人民戦争の一連の戦略、戦術をあみ出した。毛沢東同志は、解放戦争のさい、有名な十大軍事原則をまとめあげた。これらは、マルクス·レーニン主義の軍事理論にたいする毛沢東同志のきわだった貢献である。建国後、毛沢東同志は、国防の強化、現代化した革命武装力(海軍、空軍およびその他の技術的兵種)の建設、現代化した国防技術(防御のための核兵器をも含む)の発展という重要な指導思想を提起している。
四、政策と戦術について。毛沢東同志は革命闘争において政策と戦術がきわめて重要なことについて的確な論証をおこない、政策と戦術は党の生命であり、革命的政党のすべての行動の出発点と帰結であるとし、政治情勢、階級的関係ならびに実際の状況とその変化に応じて党の政策をつくり、原則性と弾力性を結びつけなければならない、と指摘した。そして、敵にたいする闘争と統一戦線などの面で数々の重要な政策と戦術の思想を提起した。毛沢東同志はつぎのようにのべた。弱小な革命勢力が、変化しつつある主観的、客観的条件のもとで、強大な反動勢力に最終的にうち勝つには、戦略的には敵を蔑視し、戦術的には敵を重視しなければならない。闘争の主要な方向を把握し、四方に出撃してはならない。敵に対してはそれを区別して対処し、分化、瓦解させなければならない。矛盾を利用し、多数を獲得し、少数に反対し、各個に撃破するという戦術をとらなければならない。反動支配地区では、合法闘争と非合法の闘争を結びつけ、組織面では精鋭分子を隠ぺいする方針をとらなければならない。打倒された反動的階級の人たちと反動分子に対しては、謀反を起こしたり、攪乱行為を働かないかぎり、みな生活の活路をあたえ、自らの手で生活する勤労者に労働のなかで改造しなければならない。プロレタリアートとその政党が同盟者にたいする指導を実現するには、一、指導されるものを率いて共通の敵と断固としてたたかい、勝利をかちとる、二、指導されるものに物質的利益をあたえるか、少なくともその利益を損わないようにすると同時に、政治教育をほどこす、という二つの条件をそなえていなければならない。毛沢東同志のこれらの政策、戦術の思想はかれの多くの著作のなかに具現されており、とりわけ『当面の抗日統一戦線における戦術の問題』、『政策について』、『二度目の反共の高まりを撃退することについての総括』、『当面の党の政策におけるいくつかの重要な問題について』、『四方に出撃してはならない』、『帝国主義とすべての反動派は真の虎であるかどうかについて』などの著作に集中的に具現されている。
五、思想·政治工作および文化活動について。毛沢東同志は『新民主主義論』のなかで、「一定の文化(イデオロギーとしての文化)は、一定の社会の政治と経済の反映であり、また一定の社会の政治と経済に大きな影響をあたえ作用をおよぼし、そして、経済が基礎であり政治は経済の集中的表現である」と指摘している。毛沢東同志はこの基本的観点に依拠し、この面できわめて深い意義をもつ重要な思想を提起した。たとえば、思想·政治工作は経済活動その他すべての活動の生命線であり、政治と経済との統一、政治と技術との統一を実行し、政治面では社会主義的自覚ももち、専門業務にも精通していなければならないという方針、民族的、科学的、大衆的な文化を発展させるという方針、百花斉放の方針と、古きをたずねて新しきを出し、昔のものを今に役立て、外国のものを中国に役立てるという方針、知識分子は革命と建設で重要な役割を果たし、労働者、農民と結びつき、マルクス·レーニン主義を学習し、社会に学び、活動の実践を通じてプロレタリアートの世界観を樹立すべきだという思想などが、それである。毛沢東同志は「だれのために奉仕するかということは、根本的問題であり、原則的問題である」とし、誠心誠意人民に奉仕し、革命の仕事に極度に責任ある態度をとり、刻苦奮闘し、犠牲を恐れてはならないと強調した。毛沢東同志の思想、政治、文化についての多くの有名な著作、たとえば、『青年運動の方向』、『知識分子を大量に吸収しよう』、『延安の文学·芸術座談会における講話』、『ベチューンを記念する』、『人民に奉仕する』、『愚公、山を移す』などは今日においても重要な意義がある。
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