近代以降の国際関係史を振り返ると、確かに勢力均衡外交が盛んに行われた時期があった。当時各国は勢力の相対的安定を図り、他国を牽制して初めて自国の独立と領土の安全を保障できると考えた。その本質は「相互抑止論」だ。注意に値するのは、勢力均衡外交を最も早く実践した欧州大陸が、寛大な和解の意向とゼロサムゲームを乗り越える決意によって、第2次大戦後に「勢力均衡――覇権追求――勢力均衡」の循環から率先して抜け出し、欧州統合プロセスを切り開いたことだ。
時代の進歩は人の意志によって変えられるものではない。相互抑止の「勢力均衡」によって自国の安全を図る時代後れの考え方は、現代世界の発展の潮流と相いれない。ゼロサムゲームという古い考え方、古い方法で人々が共通して直面する試練に対処することは不可能であり、徒党を組む勢力均衡政治によって地域に平和と発展をもたらすことは不可能だ。現在のアジアに必要なのは利益共同体、運命共同体、責任共同体の意識であり、これこそがより永続的で、より力強く、より強靱な地域国家間関係の真の礎であり、平和、発展、協力の持続を可能にする基本的保障だ。
アジアは世界とつながっており、アジア諸国を含む世界各国は当然アジアの安全・安定・繁栄を望んでいる。だからこそ、アジア情勢を正しく認識し、ゼロサム思考の束縛から抜け出し、建設的力を積極的に捧げることが、アジア各国、アジアの各パートナー国にとって出発点であり、帰着点なのだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年4月30日 |