米国は日本に対して、聖域とされる農産物の重要5項目(牛肉、乳製品、豚肉、砂糖、米)の高い関税を撤廃するよう求めた。日本は米国に対して、輸入自動車およびトラックへの関税を取り消すよう求めた。清華大学中米関係研究センター高級研究員の周世倹氏は、「日本は経済面の計算を重視しており、経済的な利益で損をすることはない。安倍首相のバックにあるのは、自民党の根拠地である農村で、農産物の関税で譲歩しようとせず、これ以上の譲歩もできなくなっている。オバマ大統領が今回、日米同盟を駒にしながらも日本にTPPで妥協を迫れなかったとしたら、今後はさらに期待できない」と分析した。
オバマ大統領は、米国国内からも圧力を受けている。TPP早期締結に向けた取り組みは、民主党のベテラン議員から妨害されている。米国の農業協会と自動車製造メーカーはオバマ大統領に対して、強硬な立場をとり日本に市場を開放させるよう迫っている。
米日は現在も歩み寄りを見せておらず、12カ国のTPPの最終決定を妨げている。米日の国内総生産(GDP)は、TPP加盟国全体の90%以上を占めている。米国企業研究所(American Enterprise Institute)の日本研究担当者のマイク・オースリン氏は、「日本がTPPに加入しなければ、完全に意義を失うことになる」と語った。
◆米日同盟、米国企業の中国での経営に影響せず
米国のアジア太平洋リバランス戦略の中で、TPPは貿易面から中国をけん制するためのカードと見なされている。しかし中国社会科学院日本研究所副所長の楊伯江氏は、「米日双方の不一致、特に米日国内の反発により、TPPは実質レベルで中国に対して影響を形成しているとは言えない」と指摘した。
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