クリミアで16日、争議の的となっている「住民投票」が実施された。クリミアの「独立」はすでに阻止できず、ロシア政府がうなずきさえすれば、ロシアへの「復帰」が欧州の新たな政治的現実になると政治評論家の多くは確信している。(環球時報社説)
国連安保理は15日、米国の提出したクリミアの住民投票問題に関する決議案を強行採決した。ロシアが拒否権を行使し、中国は棄権した。「棄権」こそが中国の明確な姿勢だ。これは各国の主権と領土保全の尊重という中国政府の一貫した立場を反映すると同時に、クリミア問題が起きたのには原因があるとする中国の見方を重ねて表明するものでもある。クリミア問題は白黒をはっきりつけられるものではない。ウクライナ情勢への西側の干渉によって、この地域はすでにかき乱されており、ロシアの反発は早くから予想されていた。重要なのは、西側とロシアがその対立をエスカレートさせ続けるのではなく、いかにして解消するかだ。
西側は現在、脅しの声を高め続け、制裁の圧力すら加えようとしている。だが米政府とその同盟国は、それでプーチン大統領を服従させるのは不可能であることを、はっきりと理解すべきだ。もし守るべき一線すらなしにロシアの戦略空間を圧迫し続けて、ロシア政府がおとなしく辛抱すると考えているのなら、ロシア政府との力比べは危険が生じ続ける事態に陥るだろう。
かつて西側を恐れさせたソ連は轟音を上げて解体し、東欧のほぼ全てがたちまちNATOとEUになびき、旧ソ連の共和国複数がNATOに加盟した。この地政学的突然変異による圧力のほどんどをロシアが受けることとなった。西側の過ちは、ロシア政府の身になって考えることなく、貪欲で飽くことを知らず、他国の不幸を喜び、他国の窮地につけ込む姿勢でロシア政府を一歩一歩と追い詰めていったことにある。
|