■米国:全く新たな国家、世界覇権、揺れる将来性
恵まれた自然、歴史、人、文化条件が全盛期の米国、米国人、米国経済を生んだ。だが現在、微妙な変化が水のようにゆっくりと浸透、拡大しており、これが今日の米国およびその経済の矛盾と揺れ動きを決定づけている。米国経済史は米国建国史と同様、短くシンプルだ。第1段階は直線的上昇期。第2段階は螺旋的踏み切り期だ。
第1段階は三段跳びで実現した。ホップは自然的条件によるもので、主に北米の広大で果てしない大地からの大量の収穫、大量の安価な黒人奴隷の勤勉な労働、旧欧州植民地から生まれ変わった新大陸国家としての独特の国情、文化、制度によって、初期の本源的蓄積を完了した。ステップは波にうまく乗ったもので、主に機を逸せずに2度の産業革命に相乗りした。ジャンプは2度の世界大戦中の本土から離れた戦争による大特需のおかげで、工業、政治、経済、軍事、外交面の世界覇権を最終的に確立した。
米国経済の予測は最も困難だ。情報技術革命以来、米国はイノベーションによって、立て直しを果たしただけでなく、新たな段階へと上った。一方、国内外で様々な問題を抱えてもおり、イノベーションの勢いを持続できるのかどうか疑問符が付く。だが、米大統領選で最終的な結果を決定するのが往々にして揺れ動いていた州であるのと同様、実は米国経済の命運を決定づけるカギも、その揺れ動き要素にある。米国の銃規制問題の行方が不透明なのと同様、米国経済の展望と地位も不透明であり、世界は成り行きを見守っている。
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