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国際  
調和のとれた世界 その理想と現実

むろん、世界に対する中国の認識の進歩も、国際環境の変化や人類の自らに対する認識の進歩と合致するものだ。冷戦終結後、二大超大国が対立する垣根が取り払われ、経済のグローバル化傾向が加速したことで、様々な経済生産要素が世界的範囲で再配置され、そして急速に流動するようになり、国家間の依存度が強まってきた。経済競争ももうこちらが弱まれば、あちらが強まるといったゲームではなくなり、協力を通じて共同の利益を実現するチャンスとなってきた。こうした「互いに依存し、協力して共同の利益をあげる」理論はますます幅広く認められるようになってきた。認識の進歩は調和のとれた世界を提起した重要な理論的根拠であるだけでなく、同時に調和のとれた世界の構築を推進する重要な現実的基礎でもあるのだ。

空想的スローガンではない

ある意味から言えば、人類が調和のとれた世界を構築するプロセスは早くから始まっていたのである。人類社会は第2次世界大戦後、恒久的かつ平和的な新秩序を構築するプロセスに着手した。反ファシズム戦線が勝利すると、戦勝国は恒久的な平和を擁するために国連という体制を確立した。この体制は、各国は平等で、植民地主義と他国の侵略・奴隷化に反対すると主張しており、現代の新しい国際政治経済秩序の端緒を切り開いたものと言うべきだろう。

だが、国連体制の運営は各加盟国の理性的な協力を基礎とするものだ。戦争の惨禍から脱却したばかりで、多くの中小国が植民地による後遺症をいまだ治癒している世界について言えば、この体制がその役割を有効に発揮するのはやはり難しい。それゆえに、国連の枠外に、多重的な秩序構造が形成されたのである。こうした多重的秩序が世界の矛盾と衝突の主要な根源だ。冷戦時代の両極が対立した秩序や、冷戦終結後の一超多強(一つの超大国、多くの強国)秩序はいずれも多重的秩序の形態を表している。だが、冷戦時代が終結した後の国連改革が国際政治の舞台で角逐する焦点となっているのは、まさに多重的秩序構造を本来の秩序に戻そうとする表れなのである。

60年余り努力を重ねてきたことで、国連を基盤とする国際組織体系と、「国連憲章」の精神を基礎とする国際法制体系はいずれも大きな進展を遂げた。現在の世界の複雑な矛盾と衝突に直面して、多くの人が国連の実効性に疑問を抱いているものの、否定できないのは、国連が現行の国際法秩序の中で解体することのできないほど磐石な役割を果たしているということだ。このような組織と法制は人類が恒久的平和を構築する上で重要な基礎となっている。

国際組織と同じように重要なのは、地域協力を急速に発展させることだ。こうした協力は経済面で域内諸国の共同の繁栄を促進できるだけでなく、政治面で国家間の衝突を少なくし、さらには失くすことができるとともに、文化面では互いに包容し融合する上でプラスとなる。

また、大国間の対抗性を絶えず少なくし、対話と協力を絶えず増やし、とくに多国間協力を増やすことは、安定を擁護し、繁栄を促進する上でよりプラスに働く条件となる。冷戦が終結した後、経済のグローバル化が進み、情報技術(IT)によって人類の意思疎通の利便性が日増しに高まるに伴い、人類社会は自らをより深く認識するようになった。相互依存の理念はますます幅広く認められるようになり、協力と対話を通じて共同の利益を模索することが普遍的に受け入れられる国際的な行動規範となった。

もちろん、「調和のとれた世界」の理念の理論的、現実的な合理性は、決してこのように一つの世界をして自動的にもたらさせることはできない。現実の世界においては、各国間の政治や経済発展の不均衡や、依然としてある強権政治による混沌、歴史的に未解決な事項の複雑さといった諸々の問題がいずれも世界の進歩をいまだ妨げている。従って、調和のとれた世界を構築する過程が、全世界の人民がともに参与し、複雑かつ曲折した歴史的な過程になるのは必至だ。

この過程において、中国が直面する主要な課題は、世界秩序を構築する参与者、構築者、擁護者として、世界で影響力のある責任を負う大国としての地位に立って、平和と安定を擁護する中堅勢力となり、全地球的な国際秩序の構築と共同の繁栄の促進に積極的かつ建設的に参与していくことである。

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