ブッシュ米大統領一家が北京にやって来た。父親の元大統領は米国オリンピック代表団の名誉団長として、ジュニアの現大統領は応援団団長として来たのだ。現大統領のきれいな令嬢・バーバラさんも競技場で旗を振り応援の声をあげて、非常に人目を引く一家となった。だが、この米国の「ファースト・ファミリー」が北京に来たのは、五輪競技を見るためだけではなかった。

この数日前、胡錦濤国家主席は中南海でブッシュ大統領一家の招待宴を開いた。招待宴の前に、胡錦濤主席はブッシュ大統領に「大統領閣下は就任後、中国を4回も訪問し、米国史上のいかなる大統領をも超えた。これは大統領が中米関係に非常に重要な役割を果たしたことを物語っている」と語った。

34年前には、中米両国はまだ国交を樹立しておらず、当時、中国駐在連絡事務所所長を務めていたのは現大統領の父親だ。ブッシュ元大統領がこのほど発表した「中国ノート」によると、彼は夫人のバーバラ女史と1974年から1975年まで中国に14カ月滞在した。当時の中国は「文化大革命」の時期にあり、中国政府の要人と会うことは少なく、夫婦2人は中国庶民の生活状況を知ろうと、常に自転車に乗って北京の小路や横町を行ったり来たりしていた。また、数日前に「ワシントン・ポスト」紙のインタビューを受けた際、「当時は毎日新しい発見があった」と回想してもいる。

ブッシュ元大統領が中央情報局（CIA）の局長に就任するために帰国する前、故・鄧小平党総書記は人民大会堂で彼のために送別の宴を開いた。席上、鄧小平氏は、「北京に滞在期間中はいつも私を監視していたのではないか」と冗談を言った。ブッシュ氏はノートに「北京にいるその他の外交官たちはこれに対し『嫉妬の炎を燃やしている』と書いた。鄧小平氏は彼らが会いたいのに会えない中国の指導者だったからだ。また、ブッシュ元大統領は、自分が大統領になってからでも、中国の指導者に電話するのも難しい時があった、と言い、だが「今は昔の比ではなくなった。胡錦濤主席は現大統領とよく通話している。これは当時には不可能なことだった。本当に大きな変化だ」と感嘆した。

ブッシュ元大統領はさらに、中国人民が現在享有している自由と人権は、彼が中国で外交官を務めた時と同日には語れない、と記し、さらに、中国政府に不満を抱いている人が、これらの成果について見て見ぬふりをするのは間違っている、と指摘した。また、オリンピックを妨げようとする人もいるが、「私はそれらの人たちに同調する気は余りない。メディアが大統領は五輪開会式への出席を拒むべきだと提言したのに、大統領がやはり開会式参加を決定したことは、そうしたやり方への不満を示すものだ」と言った。ブッシュ元大統領が米国のオリンピック代表団の名誉団長として北京に来たのは、中国のこの30年間にわたる成果を認めたということだ。

現在のブッシュ大統領は、父親が中国で外交官を務めた時、北京に来て、自転車に乗って北京の至る所を回ったことがある。数日前に、米NBC記者のインタビューを受けた際、当時と比べれば、「今日の変化は不思議だ」と言った。今回北京五輪の開会式に参加した理由について、「米国チームを応援するためだけでなく、米中両国の建設的な関係を強化するためでもある。中国は朝鮮半島やイラン半島、ダルフール危機などの問題で、大きな役割を果たした」と言う。

ブッシュ親子の目から見れば、中国ではこの30年間に主に次の三大変化が起こった。第一は、中国人民の生活レベルが経済成長で向上し、人権状況と個人の自由権が改善したこと。第二は、中国の指導者がより開明的でオープンになり、親しみやすく、異なる意見を尊重するようになったこと。第三は、世界における中米両国の戦略的、経済的利益が接近し、利害関係が深まったため、一蓮托生と言えることだ。

もちろん、これはブッシュ大統領が中国の政治的措置に完全に賛同していることを意味してはいない。ブッシュ大統領は北京に到着する前、バンコクで中国の国内政策を非難した。中国外交部は、ブッシュ大統領の発言は中国に対する内政干渉で、受け入れられないと指摘した。ブッシュ元大統領の言うように、他国の指導者と個人的友情を結ぶことは非常に重要ではあるが、それは彼らのすべての方針と政策を支持することと同じではない。

実は、ブッシュ親子の見た中国の変化と不変性は、ほかでもなく、中国と西側諸国で現在矛盾が起こっている点および将来衝突する可能性のある主な焦点だ。幸いにも、ブッシュ大統領も「中国が今後どんな道を歩むかを決めることができるのは中国以外にない」と見ている。

「北京週報日本語版」2008年8月19日