内蒙古自治区蘇尼特(ソニド)左旗に暮らすモンゴル族牧畜民の珠拉さんのエピソード:
わたしは内蒙古自治区のソニド草原に暮らすモンゴル族の牧畜民。ここ30年間、改革開放の春風は草原の牧畜民の生活に大きな変化をもたらし、何世代にもわたって遊牧生活を送って来たわたしたちに希望を与えてくれた。今では草原の道路は広くなり、電気も通った。我が家も古いモンゴル式のパオから広い住宅に引っ越した。草原の生活はどんどん心地よくなっている。
改革開放の初期にほかの牧畜民と同じように我が家の生活にも新たな1ページが開かれた。我が家で1984年に自主的に飼育を請け負った565頭の牛と羊は、1989年には1100頭以上になり、我が家の一人当たりの年収は1979年の310元から1989年には8200元に向上した。わたし自身は、国と自治区の「三八紅旗手」(優秀な婦女に与えられる栄誉称号)に選ばれた。
そして手元に蓄えができると、住む環境を改善したいと思うようになった。わたしがこの草原に嫁いできたときの住居といえば長年修理もしていない、どこもかしこも風が筒抜けのモンゴル式のパオだった。冬の寒い夜にパオで寝ていると、危うく耳や鼻が凍ってしまう有様だ。80年代にわたしは裕福になってきた多くの牧畜民らと一緒にレンガ作りの家を3軒建てた。夢にまで見たあたたかい家だった。さらに1992年には草原に2階建ての家を建て、都市の人たちと同じように住み心地のいい家に住むようになった。我が家には水道や電気も通り、テレビや電話、冷蔵庫など何でも揃っている。
わたしたちモンゴル族は以前、商売が好きではなかった。それにそんな条件も整っていなかった。改革開放後、多くのモンゴル族の牧畜民がかつての古い概念を変え、放牧のかたわら商売を営むようになった。ある人は草原に観光地をつくり、ある人は乳製品を加工して都市で売り、またある人はモンゴル料理のレストランを開店した。
お天道様を頼りに家畜を飼育し、家畜の数を増やしていくのが私たちモンゴル族の伝統的なやり方だったが、放牧をし過ぎると牧草地帯がどんどん退化していく。このため2001年から「休牧」制度を取り入れ、毎年4~6月は家畜に飼料を与え、牧草地帯を休ませるようにした。草原を守り、放牧の効益を上げるため、我が家でも放牧の方法を変えた。暖房入りの家畜小屋を建てて家畜の飼育環境を改善するとともに、家畜の分娩を冬から早春にかけて行うようにした。これにより現在我が家の牧草地帯660平米余りに放牧している家畜の数は以前の半分以下だが、収入は倍になった。ここ2年間は牧畜業だけの収入で毎年10万元を上回っている。
今では草原の人々の暮らしは良くなり、都市で住宅を購入するのがブームになっている。わたしも都市に家を買い、牛や羊は子供たちに任せ、都市で安穏な老後を送っている。
「人民網日本語版」 2008年10月13日 |