人民元のSDR入りに対するIMFの態度は積極的で、前向きで、肯定的なものだった。しかしそれ自体が政策決定機関ではないため、決定には加盟国の同意が必要だった。これについて筆者は、多くの加盟国が人民元のSDR入りに同意すると考えていた。なぜならその意義が国際通貨体系の改革促進にあるからだ。これはドルの問題とも関連してくる。国際通貨体系における目下の大きな問題は、現在の世界各国外貨準備におけるドルの割合が60%を超え、しかもこれまで20年間ずっと60%を割り込んでいないことである。
国際通貨の改革について語るには、具体的な問いを提示して考える必要がある。主な問いは以下の3つである。
第一に、ドルの国際準備構成比はいったいどれだけ下がるのか?第二に、国際準備通貨の種類は今後も増え続けるのか?これまでもよく国際準備の多様化が話題になってきたが、多様化の重要な体現としてはユーロの出現が挙げられる。しかしユーロが出現した後、国際準備多様化の程度はかえって下がってしまった。なぜならユーロという1つの通貨がそれまでの11通貨に取って代わったからだ。第三に、SDRは国際準備通貨になることができるのか?ドルの割合が高いことの大きな要因は、過去30年余りで発展途上国の外貨準備が急増したことである。発展途上国の外貨準備構成の変化は、為替体制、外債水準、金融危機対応と関連しており、当然ながら外貨準備につまるところどれだけの通貨選択性があるかとも関連している。既存の構造では選択可能な通貨が少なく、発展途上国側も自国の金融市場規模がある程度限られているため、客観的に見て発展途上国の選択が制限されているのである。