本誌記者 繆暁陽
日本産業館の人気キャラクター「くんくん」と一緒に、観光客と記念写真を撮る秋岡栄子館長(右)(繆暁陽 撮影)
「日本の創るよい暮らし(Better Life from JAPAN)」をテーマにする上海万博の日本産業館は、日本の民間企業と地方自治体が初めて海外の大型博覧会に連合出展したパビリオンだ。参加企業を人々の暮しを支えるさまざまな業種から募った結果、さまざまな文化と美意識が重なり合い、多様で魅力的なパビリオンとなっている。先ごろ、日本産業館の設計理念や運営状況について、本誌記者は同館の秋岡栄子館長に独占インタビューした。
秋岡栄子館長へのインタビューの内容は次の通り。
――日本産業館の設計理念について、紹介していただけますか。
日本産業館には「リユース、パルス、サービス」という3つの大切なコンセプトがあります。
「リユース」は建築のデザインとも大きく関わっています。日本産業館の会場はもともと江南造船場という清朝時代に作られた大きな造船場の跡地です。私たちは更地に何もないところにパビリオンを建てるのではなくて、残された工場の大きな屋根と柱の中にパビリオンを作り、古い建物をリユースするというところから、日本産業館のパビリオンの建築をスタートしました。そして、万博が終わって、この建物を壊すときには、パビリオンの一部として使った建築足場が中国のどこかに行って、また中国の方にもう一度リユースされます。
「パルス(脈動)」というのは、私たちのパビリオンの中の展示、演出のシステムです。日本産業館の中には10以上の展示区域がありますが、どれも3分間演出をして、1分で次のところに行く、お客様も4分おきに70人の人たちが前へ前へ進むようになっています。これは単に1つのパビリオンの中のお客様のご案内システムということではありません。これから北京だとか、上海だとか、いろいろな中国の大都市の交通システム、あるいはいろいろな管理システムを作るときに、私たちの「パルス」という考え方、つまり楽しませながら、自ら次に行きましょうということが大変大事です。将来、中国の都市づくりあるいは世界の各地の都市づくりに、この「パルス」というコンセプトをお役に立てていただければいいなあと思っています。
「サービス」について言いますと、私たちは日本から参加している民間のパビリオンです。このパビリオンには22の民間企業と2つの地方自治体が参加しています。日本の企業、あるいは中国からの観光客をたくさんお迎えしたいと思っている日本の地方都市は、どうしたらお客さまに喜んでいただけるのか、どうしたら観光客の中国の方に喜んでいただけるのかということを常に考えています。そういうサービスの心、おもてなしの気持ちを形にして、上海万博から中国の方たちに伝えたいです。
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