上海万博はすでに入場者数が一千万人を突破し、主催者側も悠々とタクトを振って、人の流れのコントロール、会場の運営に当たっているように見える。このように長丁場の大規模なイベントは上海にとっても初体験などで、最初は手さぐり状態が続いたようだが、さいきんの動きを見ていると自信と余裕みたいなものが感じ取れる。ボランティアの若者たちも自信満々として仕事に取り組んでいるようだ。こういう若者たちが鍛えられていることは、将来の上海にとってはすばらしい人材資源のストックになる。
私見ではあるが、このあたりでこれまでの日常の仕事に引き続き取り組むと当時に、セキュリティーの仕事にこれまで以上に気を配ることも必要であろう。成功に酔っていてはよくない。たえず盲点を衝かれないように注意することだ。
さいきんは、浙江省や江蘇省あたりの日返り圏からの団体客も増えているようだが、東北、西北、華中、華南あたりからの団体客もいずれは押しかけて来ることになろう。外国のメディアが社説まで書いて「学びあい」の機会ということを力説しているように、たしかに上海万博は国民の視野を大いに広げる機会となっている。これだけでも、すでに成功であると言える。
会場では電気自動車なども使われており、中国の新エネルギー開発の学びあいの場ともなっている。
主催者側にとっては諸事多忙であろうが、「収支はトントン」と言って胸をなでおろすのもよいが、万博後のこともこの辺で考え始めてもよいような気がする。私のような素人が見ても、今万博会場となっている地域は、東京で言えば、ウォーターフロントであり、将来的には上海の大飛躍の「打ち出の小槌」となるところに思えるのである。一等地、特等地がいたるところにころがっていると言っても過言ではない。場合によっては、今の浦東地区がもうひとつ現れても決しておかしくないのである。そうなると、「収支はトントン」どころの話ではなくなる。今の会場跡地がアラビアン・ナイトのアラジンのランプと化することも決して夢物語ではない。
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