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北京週報日文>特集>2010上海万博>より良い都市 より良い生活>わが心の街
「素晴らしい都市の理想形」

 

欧州人の環境保護意識は時代の先を行っている。合理的な緑化計画はその一面にすぎず、一部の国ではもうまったく新しい概念で建物を設計し始めている。屋上に植物を植え、グリーンな屋上を作るというもので、こうした設計は一戸建てタイプの住宅ばかりでなく、大型の集合住宅、ひいては空港のような公共の建物にも応用されている。アムステルダム国際空港で、私はこうした従来の概念を覆す設計を目にしたことがある。少し風変わりに聞こえるかもしれないが、その設計は非常に実用的なものだ。植物で日光を遮ることでエアコンのエネルギー消費を節約し、また雨水を貯蔵し二酸化炭素を吸収することもできる。ここ数年、北京は徐々に環境保護の重要性に気づきはじめている。例えば、汚染が深刻な重工業企業を移転させたり、より安全で合理的なごみの埋め立て方式を検討し始めたり、私たちの目にもその努力が見えようになった。もちろん、本当の意味での環境保護都市になろうとするなら、その任は重く道は遠い。

環境保護のほか、私にとっての素晴らしい都市は都市とその住民に豊かな文化がなければならないと思う。パリも北京も歴史が長くて、豊かな文化を持っている。けれども、その歴史と文化をどうやって人々に知ってもらうか、つまり、よく言われる文化の普及となると、パリのほうに独自の優れた点がある。例えば、あることを知りたい時、北京の人なら最初にインターネットで調べようとするだろうが、ほかの方法はそれほど考えつかない。しかし、パリではインターネットで検索する以外にも、図書館で調べる人が多い。北京の図書館と違い、パリには区ごとに公立図書館があり、とても便利だ。インターネットの横行する今の時代でも、休暇を除いて、パリの公立図書館はいつも超満員だ。

それだけではなく、フランスのラジオ放送局は毎週決まった時間に歴史家や文学者を招き、番組の中で講座を行っている。講座のテーマは、例えば、第二次世界大戦頃のフランス人のファッション習慣など、興味をそそられるものもある。こういうラジオ番組はフランスでは大変人気があり、地下鉄に乗る時にipodで番組を聴く若者も多い。フランス学士院が毎週無料で開く歴史文化についての講座は完全に対外開放されており、この内容の録音はインターネットで簡単にダウンロードできる。これに比べて、北京ではこうした市民の興味を引くような文化普及活動が極めて少ない。

都市の配慮や思いやりあるサービスと住民の幸福感とは密接な関係がある。例えば、パリの路線バスでは特にベビーカーのためにスペースをとってあり、妊婦のために普通の椅子よりゆったりした椅子も用意されている。大通りと公園ではビニール袋をもらえるところがあり、ペットの糞便を始末するのに便利だ。このような一見些細なことに見える点は、まさしくその都市の成熟度合いを表している。

ここ数年、中国の都市でもすでに配慮や思いやりのあるサービスが重要視され始めている。昨年の春、一時帰国した時、北京の地下鉄では全て車椅子用の昇降システムが設置され、病院や映画館、観光名所など公共の場所にはバリアフリー通路が設計されていた。「ローマは一日にしてならず」と言うが、国際大都市になろうとしている北京はこういう些細な点についても改善を続けていかなければならない。

今年の夏、私は学業を終えて帰国する。3年間、パリはその情熱、開放性、ロマンチックさなどで、とてもよい印象を残した。しかし、異郷に暮らしてみて、パリでの生活にはとっくに慣れたにもかかわらず、私は帰属感を持つことができない。北京は今大がかりな建設と発展の最中にある。北京には何かと不足はあるけれど、ここが私の本当のホームタウンだ。もし北京とパリがそれぞれの長所を取り入れ、短所を補い合ったら、それが私にとっての素晴らしい都市なのかもしれない。

「北京週報日本語版」2010年4月27日

 

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